Last Updated on 2025-10-26
体験コンテンツが重視され当たり前となった今、かつてよく言われた「モノからコトへ」という言葉すら聞かなくなりました。
成長を続けるインバウンド市場において「コトづくり」は、観光行政などが発出する事業も増え、地域への市場誘致や事業者のインバウンドビジネスにとって欠かせないものになったと言えます。
しかし、各地でつくった体験プログラムは実際に集客を果たしているかと言えばなかなか集客の成果が出せていないことも多く見られます。
私はかつて京都における自転車アクティビティの仕事や、現在、DMOのアドバイザーとして体験プログラム造成から販路開拓を行ってきました。
その旅客流通を引き起こすことに成功する鍵を数回に分けてお届けしたいと思います。
インバウンド市場誘致のために体験プログラム造成、いわゆる「コトづくり」は全国各地の行政事業として、また、民間事業者のインバウンド市場向け商品開発として盛んに行われています。
特に公務では大規模な事業もありその仕様書を見ていると「プログラムを総計○○個つくること」などのモノコトづくりの数だけのKPIや最終的なゴールは書かれるものの肝心のターゲットや販路、販売計画等のマーケティング部分が書かれていないこともあります。
また民間事業者においても体験プログラムを商品化しようとした時、特にインバウンド市場のマーケティングに深い知識がない社員でもいない限りそこで始まる議論はメニューづくりのことばかりでしょう。
「一体何をしようか?」「あれなんかどうだ?」
とにかく何かをつくれば外国人が勝手に申し込んでくれるだろう・・・これは残念ながらそうではありません。
私も各所からのご相談のなかで、自社の現在の商品やリソースだけの範囲で考えるため、市場に全くマッチしないプログラムをいくつも見て来ました。
「この地域の歴史はああでこうで・・・」「ここは文化的に重要なのは・・・」「この施設が使えそうだな・・・」「やはり地元の特産を使って地域性を・・・」
この最初の段階で既に大切なことが抜けているのがターゲット市場と旅客の嗜好とニーズ、つまりマーケティング作業です。
国・地域ではアジアや欧米豪などで嗜好やニーズが全く異なりますし、厳密に言えば欧州各国でも旅客に特色があります。東アジア市場でも中国、韓国、台湾、香港と全く旅客流通も販路も異なります。
それらを最大公約するようなオールマイティーな体験プログラムなどはそう簡単にできません。数多く販売や流通の現場を経験し見てきた私でももちろん難しくてできません。
このように今の日本の体験プログラムづくりの多くはとにかく「プロダクトアウト」ばかりなのです。
ある程度旅客の感覚が想像できる我々と同じ日本人客向けであれば簡単にできることも、全くの異文化を持つ外国人では同じようにはいきません。
インバウンドビジネスにおける商品・サービスづくりは、最初にマーケットインの視点で考えることが大切であり、その最初の考え方が間違っていれば造成の労力や時間の多くがロスとなります。
「どのようなモノコトづくりをしよう?」と考えるその前に、どのような国・地域のターゲットにどのように嗜好にマッチする商品・サービスをどこでどのように販売するかを十分に検討しましょう。
その事業設計の精度が高ければ高いほど、その後の実際に手を動かし行うモノコトづくりから販売までが迷いなく効率的に実行することができ、集客の可能性が高まるでしょう。
実際の現場への集客まで具体的なアクションをイメージする「逆算の体験プログラムづくり」が私自身、最も重視する作業スキームです。
マーケットインとは顧客の声を聞き、市場の流通、販路を考え、ターゲットの解像度を上げていくことです。
しかし、市場についてあまり知識がない人だけ集まれば市場については何も解らず、とにかくモノコトづくりを始めようとするのは理解できます。つまりプロジェクトの設計からつまずいているケースが見られます。
これは、そうした推進会議の場にインバウンド市場に知識がある人がほとんど不在であることが多いことをいつも感じます。
もちろん、地域にそうした専門家がいるわけでもなく、地域のホテルや交通機関、行政のインバウンド担当者などが専門家として位置付けられます。
しかし、海外やそれと連動する国内のBtoB流通などの現場に深く関わり実際に誘致を実践した人でない限り精度が高い計画をするのは困難なのがインバウンド市場なのです。
富裕層もハイエンドもSITもインセンティブも全て全く異なるマーケティング要因が存在します。
では、専門家不在の場合、どのようにマーケットインの考え方を得ればいいのでしょうか?
これはインバウンド市場が急伸した今、ここ数年間の統計データなどが非常に充実しており、少し検索すれば多くのデータがあります。それについては後の記事で紹介したいと思います。
文化や芸術、食に農業、アウトドアと様々な事業で体験プログラムの造成が可能です。
しかし、ターゲット市場によってはその手順づくりやプログラムの構成が全く異なってきます。逆にそのターゲティングもなしに売れるプログラムがつくれることはないと私は思います。
体験プログラム造成においてターゲットとしてせめて大雑把に考えるべきは「アジア」か「欧米豪」かのどちらかを決めることで最初の方向性を決めることでしょう。
それはあなたの地域のインバウンド市場の状況が基になるでしょう。
東京~京都~大阪のゴールデンルート、または、金沢、広島、白川郷から足を伸ばせるエリアであれば欧米豪をターゲットにすることが可能と考えます。
また、日本の地方都市は東アジアや東南アジアからの定期便やチャーター便が就航しています。その場合、ターゲットはそれらの国・地域となるでしょう。
次の段階は「アジア」と「欧米豪」の嗜好、ニーズの違いに応じた体験プログラムづくりを進めていきたいと思います。

