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海外の旅行社との商談会で成果を出すにはどうすれば? 「VISIT JAPAN トラベル&MICEマート」(VJTM)から考える  欧米豪市場に向けた体験プログラム編 

Last Updated on 2025-09-09

|あなたが旅行社との商談を単なる「まち自慢」に終わらせないために

日本政府観光局(JNTO)主催の「VISIT JAPAN トラベル&MICEマート」(以後VJTM)は海外バイヤー(海外の旅行会社)との年に一度の大型商談会。先日、大阪で4年ぶりに開催されました。

このように国や自治体らが取り組むインバウンド推進事業などで、海外の旅行会社や国内の訪日専門旅行会社(ランドオペレーター)との商談機会が増えてきました。

このVJTMでは私も自転車アクティビティ時代から現在の観光行政支援の業務で10回以上の参加を重ね、毎年、多くの観光行政や民間事業者の国内のセラー仲間とも交流してきました。

そのような中、セラーの方々からは「思ったように商談が進行しない」「商談アポすら取れない」と言った声を聞く事もしばしばあます。

効果的な商談や集客実績を得るために、どのような準備や本番対策ができるでしょうか?DMO等への対策支援における内容も含めて来年度に向けて点検すべきポイントをお伝えしていきます。

|ポイント1 「コンテンツ紹介」に終わらない商談会にするために必要なもの それが「プロダクト」

商談をする海外の旅行会社はバイヤーですから買うものを求めて来ます。彼らが買う物(仕入れるもの)は顧客(クライアント旅客)に提供する日本での行程を構成する一つ一つの旅行素材です。

何故か日本の業界ではあまりプロダクトという言い方をしないのですが、海外の旅行会社では一般的にそう呼びます。

海外の旅行会社や外資系のランドオペレーターの方の名刺にはプロダクト担当のように書かれ、各地のプロダクトの審査や仕入れを専門に行うスタッフが必ずいます。

余談になりますが、日本のランドオペレーターは国・地域の担当割や、団体、FITの担当割はあるのですが、プロダクトを専門に担当している方には出会ったことがありません。それほど、海外ではやはり「コト」の重要性が先行して認識されていることが解ります。

さて、そのプロダクトと呼ばれるものは交通やホテルなど旅行の骨格となるものもありますが、海外の旅行会社のプロダクト担当が今、最も関心が高いものは、やはり体験的なプログラムや自然景観、グルメなどです。

それは、日本らしさやその土地のローカル感を味わえるものであり、食事にしてもただ胃袋を満たすだけではなく、より日本の食文化や食材、作法や調理手法を味わえるものなどです。

とにかく、よりユニークで品質良く、サプライズや満足度を得られるものであることが大切ですが、最近、欧米豪市場に対してよく聞く高単価なものというわけではありません。高額な、特別なという発想ではなく、日本を満喫したい彼らが日本の文化や風習を感じられることが大切で金額の問題ではありません。

もう一つ大きなポイントを言えば、それは日本人、更に言えば何かしら特別な人との交流です。それは有名で偉いという意味ではなく、例えば、伝統的な技を持った伝統工芸職人や武道家、代々農業で特産品をつくる農家の方、さらにはお寺のお坊さんなどとの時間です。

ピントこないかもしれませんが、訪日客の最大の関心の一つは“日本人”なのです。(日本はアジアの中で中国でも韓国でもない不思議な国なのです)

日本人のあなたは世界からすればちょっと変わった国の人なんです。笑 もちろんいい意味でそう言われています。

ポイント2 「プロダクト」とは買える状態にあるもの 体験プログラムの内容だけではなく品質や安心が必要

プロダクトの代表的なものとして「体験プログラム」を例にして考えてみましょう。

製品である限りそれは安心して買えるものである必要があります。インバウンド市場向けのプロダクトは和製でありながら外国人向けに適応するようにアレンジされたものであることが大切です。

つまり日本人向けに設えられた体験プログラムは地方にも様々にあると思いますが、それはあくまでも日本人向けに設えたものも多いのではないでしょうか。それをそのまま英語でやれば満足度高く実施ができるかと思えば全てがそうでもありません。

例えば、体験販売サイトを見ていても「これをインバウンド向けにするにはかなり手順を変えないとなあ」と感じるものも少なくはありません。

特に地方においては、インバウンド市場についてあまり馴染みがない人が想像でプログラム化をしたりしますから、海外の旅行会社にとってはそのまま行程に採用できないものが多いのも事実です。

インバウンド向けの体験プログラムを造成するということは、日本人向けのそれとは違い、徹底的に市場の嗜好やニーズを先ずリサーチしたり、学んだりする必要があります。厳密に言えば、“BtoBの業界ニーズ”がポイントでもあるため、BtoBの市場流通を知ることが販売において近道となることは多いでしょう。

そのように訪日客の観点や価値感を知れば、自ずとプログラムの改良部分が見えて来ます。基本的には日本人のように1から10までの説明が不要となることが多いでしょう。説明内容もポイントを簡潔にまとめる必要があり、日本人向けとは大きく“手順”が異なってきます。

コンテンツ以外では安心感という点で物差しがあてられます。体験そのものは多言語化もされ、面白そうで、場所や時間も問題なく非常に関心があっても、肝心な点で安心感に欠けバイヤーが取り入れられないケースがあります。それはプログラムをマネジメント(予約から実行、精算、リスク管理まで)する“体制”に不安が見え隠れする場合です。

日本においては少ないですが安心できない“人”もあるかもしれません。それは言語スキルも大きく影響しますが、少しぐらい英語が苦手でも問題なくカバーしてくれます。とにかく、すぐに行けない遠い異国、東京のオペレーターであれば何百㎞も遠くに大切な顧客を預けるわけですから“信頼できる人”“頼りがいがある人”がインバウンド界で活躍します。日本のインバウンド界ではハキハキ、明るく、そして積極的な人が多いのはそのためだと私は思っています。

ただ、こうした商談会ではサプライヤーの顔が見えないケースがほとんどです。DMOや観光協会がいくら一生懸命に商談でオファーしても、その実施主体となるサプライヤーはその現場におらず、実際の現場で様々なリスクに対応してくれる会社や人なのか? その支援を観光行政はしてくれると言っても稼働は9時~5時で土日祝が休みではなかなか心配で手が出せません。(もちろん扱う案件やプログラムの難易度や安全性で問題ないケースもあります)

その場合、オファーする民間のプログラムが既にWebサイトで情報が豊富に説明され、多くの外国人が既に利用しており、オーナーの顔も見える。そして何より、高い評価のレビューが並んでいる。こうした成熟したプログラムであれば観光推進機関の代理オファーでもトライしてくれる可能性は十分にあります。

|ポイント3 受入れ主体となる事業者の市場理解と知識が何よりも大切 

いずれにしても、どんな地方でも実施主体となる民間事業者の市場の知識やスキルを高めることがインバウンド市場を地方へ分散し集客するための喫緊の課題であると私は確信します。

一例ですが、私が京都の自転車アクティビティを販売管理していた時は、インバウンド界においても自転車観光の先駆けのような会社でしたからよく知られるようになりました。そのような中、サイクルツーリズムなど横文字になり年々増える自転車のプログラムがVJTMの現場にも現れました。

それに対して毎年、何人かのバイヤーや国内のオペレーターの人たちがこっそりと質問をしてこられました。

「○○県のセッションでサイクリングアクティビティをオファーされたが大丈夫だろうか?あなたは知っているか?」と。

バイヤーが優先するのはプログラムの中身よりも実施主体の信頼性であることを私は数多く見聞きしてきました。

私に数多くブッキングしてくれたのも、実施主体の会社と私がバイヤーに信頼を持ってもらえたことが全てだと思います。

次回は、海外の旅行会社や国内のランドオペレーターが何故、そうした信頼に重点を置くのかを市場の流通の面からも見てみたいと思います。

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