Last Updated on 2024-12-28
■観光GDP
観光白書2023が閣議決定され、メディアの大見出しにはキーワードとして
「産業の構造的課題」や「稼ぐ力」が課題として書かれています。
2019年ベースの日本の観光GDPは11.2兆円。
全産業に占める割合は2.0%だそうです。
全体額は世界でも米国、ドイツ、イタリアに次ぐ4位。
世界的にも成長産業である産業が発展している点では良いことだと思います。
しかし、GDPとはその名の通り国民の総生産。人口増と共に日本の発展がありました。
そう思えば、人口が欧州各国より多い日本が4位というのは手放しで喜べません。
全産業に占める観光GDPの割合で見ると、G7平均の4.0%には大差があり、
残念なことにG7中、最下位です。

■付加価値額
こうした数字から、日本の観光産業の「単価」に課題があることは明らかです。
もちろん、単価だけの問題ではなく、デイビッドアトキンソン氏が説く
「生産性」も然りでしょう。
売上げから原価を引いたいわゆる「儲け」にあたり「付加価値額」
*就業者一人当たりの付加価値額は?
日本の全産業・・・・・・・806万円
観光及びその他の産業・・・491万円
宿泊業・・・・・・・・・・534万円
「観光及びその他の産業」は500万円を切っているのですね。
では、海外ではその額はどうでしょうか?グラフにしてみました。

なるほど、日本はやるべきことが多そうです。
■高付加価値化、高単価コンテンツづくりだけで「稼ぐ力」を育てるのは可能か?
以上のような背景で、観光庁など国も地域の高付加価値化、高単価コンテンツづくりに注力することに事業予算を割き始めています。
これはマスツーリズムが終焉した現代においてもちろん正しいことでしょう。
外国人観光客の観光消費額において「娯楽・サービス費」は,今も日本は相対的に低い値です。
しかし、こうした高付加価値化や高単価商品をつくるような事業を地方で実施するニュースを見る度に「あー、またか・・・」と思うことがあります。
コンテンツを熱心につくる以前に、基本的なインバウンド流通すらできておらず、高単価商品などつくったところで、流通はないは、地域の事業者は富裕層どころか、ハイエンド、いや、もっと言えば欧米豪市場の受入れすら経験がない状態です。
私は地方で仕事をする度に「これでは地方創生など何年あっても足りない」
そう思うわけです。
大半の地域でインバウンドと言えば、それはアジア(大半は東アジア4国・地域)のことでしょう。もちろん、中国の富裕層は別として、それらの国・地域は、相対的に高単価の観光商品が直結する市場ではないことは観光庁の統計にもあります。
では、消費単価がアジアより高い欧米豪を見ると、訪問するディスティネーションは、滞在日数が長いと言ってもかなり「限定的」です。
このサイトのマーケティングメニューでもお話しする通り、発着基点が東京と大阪だからです。
もう一つの理由が、地方の観光コンテンツ(国宝や世界遺産がなくてもゼロからつくる観光資源でも)が乏しいということで、これからの高付加価値づくりは必要です。
しかし、私が常に思うのは、「観光マーケティング」の知識、経験を地方の担当者や事業者が持たないと、いくら地域の昔からのコンテンツをこねくり回しても、そうしたインバウンド客はやってこない(知らないものは買えない)ということです。
とかく「コンテンツづくり」ばかりに熱心になることが観光事業には多いですが、その前に、何なら同時進行であっても実施すべきことがあります。
・市場を誘致するためのマーケティング活動
・観光活躍人材の育成
この2つがいつも不足しています。特に地方では後者課題であり、「集客できる観光ビジネス人材」が地方では圧倒的に不足しています。
地方というのは、何も郊外、僻地を指すわけでではなく、主要観光地に隣接した市町村でも”観光マーケ的に”郊外、僻地であります。
私は、観光ビジネスをよくレストランに例えますが、いくらシェフの修業に多くの投資をして、美味しい料理と厳選したお酒を用意し、ホールでは最高のサービスでもてなしの準備をしても、そのレストランになければ、経営が継続できないものがあります。
それは「集客」です。
これは例えですが、飲食業のコンサルタントの方の話しを聞くと、「内容が素晴らしいレストランは多いが、マーケティングが出来ずに閉店となることが多い」そうおっしゃってました。
例えでもなさそうです。
地方の観光地経営も同じだと思います。
「急がば回れ」で、基本的な観光ビジネスを習得していきましょう。

