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欧米豪インバウンド向け体験プログラムづくり 成功のヒント4 「混載ツアー・プログラムの注意点」|観光ビジネスインサイト

Last Updated on 2025-10-26

体験プログラムの販売時に明確にすべき事項の1つが、参加客が他人と共に体験するのか、或いは、他人が全くいない完全なプライベートでガイドやレクチャーが受けられるのかなどの参加条件があります。

「混載とプライベート」 混載プログラムの注意点とは?

例えばガイドによる街中ツアーや屋内の文化体験など、参加方式はプログラムによって様々です。他人同士が同じ組で一緒に体験を行う形態を「混載ツアー」「混載プログラム」と呼んでおり、最も一般的な形式です。

方や、家族や夫婦だけといった完全にプライベートなプログラムもあり、特に欧米豪のハイエンド向けにつくられることが多いです。「プライベートツアー」などと呼びます。

これは欧米豪のハイエンドを主要顧客とする海外の旅行会社や日本国内のランドオペレーターが、よりプライベート感、高品質な体験商品のイメージを持たせるために設定することも多く、混載ツアーと差別化しています。

家族や友人のみで参加するプライベートツアーは参加者の好みや意思がまとまりやすく催行側も対応しやすいことが多いのが1つの特徴です。

それに対して他人同士が混在する混載ツアーは現場の一体感や意思統一などが難しい場面も生じます。今回はそのことに触れておきましょう。

混載ツアーやプログラムの注意点は「場をまとめる苦労」

混載のプログラムは様々な国・地域の人たちで同時に進行するためどうしても進行スピードや体験内容の理解度に差が生じる場面が出てきます。

例えば絵付けやものづくりなど、個々に体験の対象が与えられる文化体験などは個人のペースで進めやすいですが、自転車ツアーやウォーキングツアーなど参加者が一体となって進行する体験は事情が違ってきます。

様々な国・地域によって国民性も違い、時間感覚や物事に関する関心の度合いも全く違うことがあり、それらの人たちをまとめるのは容易ではありません。

私がかつて京都で仕事をしていたサイクリングツアーは、スポーツではない時速10㎞以下で進行する誰もが参加できそうな街中の自転車散歩だったのですが、それでも自転車スキルが不足する参加者はいくらでもいました。

自転車自体にとても慣れている欧州やアメリカの方と普段自転車にも乗ることが少なく旅先のアクティビティとして特別な体験として参加している東アジア人とは全くスキルが異なるわけです。

では、ウォーキングツアーはどうでしょう。サイクリングのような乗物のスキルはありませんが、これはこれでかえって国・地域の違いが明白になることがあります。

それは、サイクリングは移動中(乗車中)自転車そのもの走行を楽しみますが、ウォーキングとなれば自転車より「視界に飛び込むもの」が増えます。

いつでも立ち止まることができるウォーキングは、次々に出て来る店のショーウインドウや街並み、花、鳥、動物と、目に見えるものに関心を持てば足がとまり、スマホカメラが向けられたりします。

これが10人ぐらいいればどんどん隊列はまとまりがつかなくなるのは言うまでもありません。

また、そうした目に見えるものへの関心だけではなく、やはり国・地域で国民性も異なります。きっちり時間を意識して行動する人、のんびり楽天的な人、ガイドの説明はそこそこに終始参加者に冗談を言うことに専念している人。(アメリカの楽しいオジサンに多いですが、笑)

こうした訪日客の国・地域の違いで場がまとまらなくなると双方の参加者にとってストレスとなり不満要素になってしまいます。

そのため、その調整や場づくりはガイドにとっては本来のガイド技術とは違った場をまとめる力が求められ非常にタフな仕事となります。

ガイドとは歴史の知識などの必要性ばかりを考えがちですが、私は、こうした「場の仕切り」が的確で上手い人が優秀なガイドだと思っています。これは日本人客に対するガイドでも同じことが言えるでしょう。

映像の世界でのロケ隊を仕切るディレクターのような「現場を仕切り、場にポジティブなムードをつくる技術」が観光の世界のガイドでも必要です。

私は過去にクリエイティブの仕事も経験しており、ロケやスタジオの現場も多く、そこを仕切るディレクターの「場をつくる力」がガイドと共通していると私は痛感しました。

DMOのガイド育成事業などは冗談ではなく、ロケ現場や番組の撮影現場を視察してもよいぐらいと今でも思っています。

混載プログラムの料金設定の難しさ

どんな商売でも料金設定というのはアバウトな点も多いでしょう。「まあ、大体」という感じは観光商品の値決めにつきものです。

体験プログラムの料金設定は正にその根拠が厳密にあるわけでもなく、業法にも基準はないでしょう。普段の仕事で体験プログラム事業者の方からの質問もこの「値付け」の考え方に関することは少なくありません。

しかし、根拠はなくても「催行に要する原価」をブレイクダウンすることは必要です。ガイド料、保険、入場施設、食事、貸出備品、利用ツール、材料、緊急対策用準備・・・など、催行にかかるコストは意外と細かいものです。

その作業により単純に1人当たりを受け入れる単価が凡そはじき出され、そこに自社のサービス料、手配料等の儲けの部分を一定の率でかけていくなどの方式になると思います。

先ず、従来からの旅行商品の料金における基本的な考え方として「人数が増えれば1人当たり料金は段階的に安くなっていく」という方式があります。

例えばホテルの部屋料金は最近の一棟貸しなどを除き、多くはシングル利用が割高で、2名、3名と増えると1人当たり料金が安くなります。体験プログラムもその体験内容によりますが基本的に同じ考えで設定するとよいでしょう。

この段階的な1人当たり料金の設定を何名まで設定するか?は自由です。ホテルの部屋など上限が人部屋数名と決まっていると設定しやすいですが、これが最大10人まで参加可能なウォーキングツアーだったらどうでしょう?

実際に販売中のいくつかのウォーキングツアーを見てみると人数に関わらず1人当たり料金が同じであるものも多いです。

これは混載である故に、申込み毎に段階的料金で販売してしまうと結局は満員に近い催行人数になった時に合理性がなくなってしまうのが理由でしょう。

「お申込の日は人数が8名になりましたので当初予約の際の料金より安くなります」などのような都度の調整をいちいちできませんからある程度仕方がありません。

とは言え、ガイドは1人で、それ以外に1人ずつ単価がかかることもほとんどないのに(入場料や飲食費用などがない街並みツアーなど)「人数を集めれば集めるほどこの事業者はドンブリ勘定で儲かるのだな、、」なんて思う人も必ずいます。旅行者も両替の為替レートを気にする人も多いように細かいものです。

そうした場合はある程度の人数を超える段階で、ガイドを増員するなどで合理性がある料金体系として参加者に提示するなどの方法があります。

プライベートツアーではこの点に悩むことがなくやりやすさがあります。

混載プログラムが好まれる点

プログラムやツアーを自分達だけで独占でき、ちょっとしたイレギュラーなリクエストや自分たちのペースなど自由度も持てるプライベートツアーは高額でもそれらに価値を置くハイエンドたちには好まれます。

しかし、そうしたハイエンドゲストでも混載を敢えて好む人もいます。それは他の参加者とのコミュニケーションを楽しみたいという人です。

旅先での様々な人との出会いは思い出に残る楽しいもの、ましてやそのゲストにとって異国の人々と同じ目的で同じことを楽しみながら会話するのは確かに楽しいものです。

「どちらから?あ、サンフランシスコですか、私は2回行きました、素敵なところですね!」といった話しだけでも思い出になるものです。

私も昨年、北海道に家族で旅行した際に、サイクリングツアーに参加したのですが、日本人は私の家族だけ、同じ組にはアメリカ人や香港人などがおられ2時間半のツアー中、いろんなおしゃべりをして楽しみました。

北海道美瑛サイクリングツアー
混載ツアーの良さを楽しめた北海道、美瑛のサイクリングツアー。

一緒に撮った写真も良い思い出です。これは以外と家族もその混載が楽しかったと言ってました。

何が何でもプライベートツアーが上級でいいものだ。というわけではなく、混載は混載ならではの和気あいあいとした楽しい時間を共有できるものです。

日本では海外旅行を行く人が減りましたが(旅行業界ではよくないことですが)日本にはインバウンドが大勢来てくれているので混載ツアーは日本で外国人との交流を楽しむ良い機会だとも思います。

催行の難しさもありますが、その利点をうまく引き出して参加者に楽しんでもらえれば、きっと良いレビューを書いてくれ次のゲストの予約につながるでしょう。

トークでの盛り上げに自信がなければ、参加者が打ち解け合えるアイスブレイク的なゲームなどを冒頭にやってみるなど、場づくりの工夫がプログラム全体の成功の鍵になるかもしれません。ガイドの腕の見せどころです。

初夏の公園の緑
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