Last Updated on 2024-12-28
鹿児島の飲食店が開催されている「寿司握り体験」が大人気。利用客5万人を達成したというニュースを見ました。(康正産業株式会社の体験プログラム「康正寿司学校」さん)
今や海外の多くの都市にある“SUSHI RESTAURANT”。かつて「外国人は生の魚は食べない」と言っていた時代は変わり、外国人の多くが寿司を食べた経験があるでしょう。それでも、訪日客の間では「海外の寿司と日本の現地で食べる寿司はこんなにも違うのか!」と、本格的な日本の味わいを賞賛する様子がメディアで報じられます。
寿司体験は決して新しいことではなく、インバウンド市場では何年も前からあるものです。
しかし、最初は「巻き寿司体験」が主体でしたが今ではこのような「握り寿司」を店の料理人から教わるというまでに変化してきました。やはり職人らしさを体験できるのは握りなのだと思います。
とは言っても、これらのプログラムはあくまでも旅行客に少し体験してもらいそのまま食事も楽しんでもらうもの。日本の寿司職人の本格的な技を・・・という学校ではありません。
(本格的な寿司を学びたいというような訪日客もいるでしょうから、そこは混同しないよう)
さて寿司握り体験の走りとも言うべき体験サプライヤーとして有名なのは関西の「うめもり寿司学校」さんでしょう。私もインバウンド商談会の場で一度お会いしたことがありますが、連日インバウンドのグループでみんな楽しまれているということでした。Webサイトには何と年間30万人ものお客様を受入れされているとあります。凄いですね!
鹿児島のこの寿司学校プログラムがその提携なのか、モデルにされたのか?などの経緯については私は知りませんが、もはや寿司握り体験は一般的なクッキングクラスなどと同様に、日本の体験プログラムの1ジャンルとして成熟したでしょう。
さて、話しを鹿児島に戻しましょう。
現在のトレンドから、今のインバウンド市場において体験プログラムは「インバウンド市場全体で大人気」とも思えるわけですが、実は体験プログラムは欧米豪中心の旅ナカプログラムであったと言えます。
その大きな要因はやはり価格です。少し時間や手間を掛けてつくりこまれた体験はコストもかかり、どうしても数千円以上のものとなってしまいます。私がかつて在籍していた京都のサイクリングツアーは、3時間コースで2名の一人当たりは8,500円で、これが最も安いツアーでした。こうした数千円以上(サイクリングの高いツアーでは3万円以上でした)のプログラムはどうしても欧米豪の利用が大半となります。
また費用面だけではなく、もう一つ理由があると思われます。それは滞在日数の違いです。欧米豪と東アジアでは平均滞在日数の違い、東アジアの訪日客は短い滞在日数で多くの場所を見て回りたいですから、体験プログラムに費やす時間も惜しい気持ちがよく解ります。2,3泊が多い東アジア客にとっては正にタイムイズマネーという行程なのかもしれません。
そういう意味では、欧米豪は東京、大阪の国際空港を発着基点とした行程となり、いわゆるゴールデンルート間がまだまだ主流。体験プログラムが数多く生まれ、スキルが成熟するのも、どうしても東京や大阪そして、特に文化体験も多い京都に多く存在します。
そういう意味では、鹿児島など九州においては、やはり東アジア市場が大半であり、なかなか手の混んだ体験サプライヤーは新たに登場しにくく、派生や発展にも影響すると感じます。
そうした環境としては映像を見る限り、その演出やコスチュームなどにも凝り、苦労もうかがえるプログラムの運営はこれからの地方のインバウンド市場への取り組みとして良いケーススタディになると感じます。
また、東アジアのツアーについては、私もかつてのホテル時代、アクティビティ時代とかなり取り組みましたが、本当に最近になるまではいわゆる物見遊山的な行程を巡っていたものの、こうした数千円のアクティビティにグループツアーの予算を充てることは東アジア市場全体の変化を感じるものです。
競合が激しく、価格を下げないとツアー販売に影響するのが東アジアの旅行会社が造成するツアーパッケージ。千円単位でツアー料金をせめぎ合いするわけですから、3千円というのは大きな費用なのです。5万人目の顧客が参加していたのは香港の大手旅行会社であるEGLツアーであり、東アジアの旅行会社も価格志向だけではない体験志向にもなってきたことがうかがえます。
いよいよ最大市場の東アジア市場でもこうした動きがあるわけですから、日本各地で、様々な体験プログラムのサプライヤーが登場して欲しいものです。

