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~DMOや観光行政~  VJTM(ビジットジャパントラベル&MICEマート)で何故,成果がでないのか?|観光ビジネスインサイト

Last Updated on 2025-12-31

年に一度開催される旅行博「ツーリズムEXPOジャパン」。それと同時に開催されるのがインバウンドのBtoB商談会「VISIT JAPANトラベル&MICEマート」です。(今年は愛知県で初開催)

私自身、民間企業時代から現在まで、かれこれ12回この商談会を経験してきました。

 

インバウンド拡大で年々セラーの参加も増えるなか、市場への経験が乏しいDMOや観光行政からは「なかなか成果につながらない」という声も聞かれます。

成果が出ない理由はいろいろとありそうですが、今回、3つのケースを取り上げます。その他、成果が出ない場合に試してみてほしい1つのアイデアも付け加えます。

DMOや各地の観光行政をはじめ、インバウンド市場に慣れていない民間企業の方も是非参考にして下さい。

※欧米豪市場を主体にした内容で書いています。

ケース1 「商談」ではなく単なる「アウトプット」で終わっている

「商談会」とは、売り手(セラー)と買い手(バイヤー)が製品(プロダクト)を売り買いすることですが、製品(観光商品)そのものが形として見えない旅行ビジネスはそこがあやふやになりがちです。

 

地域のプロモーションを料理に例えると、様々な地域のコンテンツは、それぞれは野菜や魚、肉などの調理前の具材と言えるかもしれません。

それらに美味しい味付け(手順づくりなどコンテンツ造成)をして料理(観光プロダクト)に仕上げ、最後に適正な値札を付けてオファーすることでバイヤーが実際に買う(旅行行程に採用)することができます。

では、その目の前に並んだ「具材」を「調理」するのは一体誰でしょうか?そこに認識のズレがあるのです。

「わがまちにはこんな歴史や文化、場所や体験的な要素がいろいろあります」と、自慢の具材を順に並べて説明すればバイヤーが勝手に料理して食べに来てくれるだろう・・・それはまずあり得ません。

バイヤーは顧客に対する旅程の品質保障や進行管理が必要で、遠く離れた日本の各々の素材との条件づくりをしてビジネスとして契約することはとても難しい作業でしょう。

つまりDMOや観光行政が、地域のコンテンツを並べて紹介するだけで実誘致につながらない理由の1つがそこにあります。

この海外のBtoB商談に提示するものは、予約方法や、利用の条件が明白な「製品」である必要があります。

ケース2 インバウンドにおけるBtoB流通に関する基礎知識が不足している

ランドオペレーターを経由することが多い欧米豪市場

国・地域によって様々に違うBtoBの業界流通。この仕組みを知らずにバイヤーへ効果あるオファーはできません。

日本に慣れ、多くの情報を持つ東アジア以外の国・地域では、まだまだ日本国内の手配や仕入を安定して行うのは難しい点もありランドオペレーターとの業務提携が必要となります。

つまりツアー行程そのものも、ランドオペレーターの企画や意向によるところが多いと考えられます。また、そのコースの魅力こそがランドオペレーターの商品とも言えます。

しかし、このVJTMでは、行程づくりの決定権を持つとも言えるランドオペレーターは会場内で同じセラーの立場です。(従って私は休憩時などはセラーの旅行社回りをしていました)

例えば、ホテルや食事、体験施設など、内容が明確な単体の施設は海外の旅行会社も予約もしやすいですが、地域全体への誘致活動(域内の周遊などを目標にするなど)においては海外の旅行会社では判断が難しい場合もあります。

地域のPRを一通りして終わるだけで実誘致につながらない理由がここにあります。

より積極的なヒアリングも有効

かつて、私がこの商談会で突っ込んでヒアリングしていたのは商談相手が提携するランドオペレーターはどこか?ということです。

彼らのビジネスにも関わるデリケートな部分もあると思うのですが、これが不思議とほとんどの会社はそのパートナーを喜んで答えてくれます。更に担当者まで教えてくれるところもあります。

それらはほとんど東京ですから、その情報をもとに、その後に東京へフォローセールスに向かいランドオペレーターで情報交換を行います。

ツアー行程づくりにおいてランドオペレーターに主導権があっても、買い手であるバイヤーの関心が高いことにはもちろんランドオペレーターも価値を持ってくれます。

実際の誘致につながる可能性が高いのはやはりランドオペレーターであり、大元のバイヤーとの間をつなぐことができるのがこの商談会の価値でもあると思います。

「DMOや観光行政がそこまでは・・・」と言われるかもしれませんが、プロの組織として地域の事業者が期待するのはそうしてビジネスを引っ張ってき来てくれるレベルの組織だと私は思います。

ケース3 商談相手の旅行会社のWebサイトチェックをしていない

バイヤーのWebサイトでチェックすべきポイント

旅行に限らず「商談」である限り、商談相手の情報を調べずに商談に挑むことはないでしょう。あなたは商談前にしっかり行っていますか?

VJTMの管理者ページでは各バイヤーの基本情報が掲載されていますが、更に情報を調べる作業として、商談相手のWebサイトを閲覧することで思ったよりも商談にプラスとなる情報が得られます。

商談のアポイントメントが数多く入れば、商談先の全社を見るのものそこそこ時間がかかり大変ですが、基本的に見るべきは2点です。

➀海外旅行の取扱いで最も注力していそうな国・地域・エリアはどこか
➁日本の商品(ツアーコース等)や情報量、

➀は、アジアはともかく、欧米豪バイヤーの中で日本を前面に出して販売するところは日本専門社以外ほとんどありませんが例えばハイエンド向けに東南アジア各国のリゾート商品を多く扱う会社もあります。

日本もその延長線上で開発に注力している場合は、彼らが有する顧客は欧米豪のハイエンド客であり、そこにターゲットする場合は注目できるでしょう。

厳密にはランドオペレーターの立ち位置でしょうが、東京に支社を置き活躍するEXO TRAVELやDestination Asia Japan、Discova(旧Buffalo Tour Japanl)などはその日本でのパイオニアとも言え私も数多くのビジネスで関わりました。

さて、➁の日本商品の様子を詳しく見ることで多くの情報を得られます。販売されているツアー行程が絵に描いたようなゴールデンルートそのもので立ち寄り先もスタンダードであればまだまだ日本に慣れていないかもしれません。

少し手の混んだコースで、見学スポットだけではなく、何かしらの体験プログラムを必ず毎日入れているようなケースもあります。そんな場合、あなたの地域のユニークな体験に関心を示してくれる可能性も高いでしょう。

何よりも既存の行程からあなたの地域を加えて新たにコース取りができる可能性の有無を検討することが大切です。

例えば、隣町のホテルで2泊する行程を組んでいたなら、1泊をこちらで提案すれば「翌日にこんな体験にも時間が取れますよ」など遠慮無くオファーしてみることも相手にとってアイデアになるかもしれません。

日本の情報に詳しい東アジアの旅行会社には不要なアドバイスかもしれませんが、まだまだ日本の情報に乏しいバイヤーも少なくありません。

日本人は遠慮しがちですが、私はそれで何度か大阪2泊の1泊を京都に設定し直してもらうこともできました。

東アジアの個人旅行はダイナミックパッケージが主体

かつては団体旅行が主体でそのスケールメリットが魅力だった台湾や韓国など東アジアの旅行会社。ご承知の通り現在は個人旅行化が年々進んでいます。

その原因はもちろんLCCとOTAの拡大でしょう。日本に行きたいと思った瞬間にスマホで航空とホテルの予約が24時間どこにいてもできます。

さて、VJTMにおいては欧米豪をターゲットにしていても、これら東アジアの旅行会社との商談も入ってくるでしょう。日本は成熟した旅行先でありWebサイトでも幅を利かせているところが多いと思います。

個人旅行において欧米豪の旅行会社は滞在行程のガイドや入場、食事など全てを組み込んだパッケージツアーが多く、行程の造成を行うために地域のプロモーションのしがいもありますが東アジアは異なります。

日本に近く、日程も短い東アジアは「自由行」と書かれたダイナミックパッケージ(ホテル&エアーのみ)商品が大半です。


台湾五福旅行社の「自由行」ダイナミックパッケージ
台湾五福旅行社の「自由行」ダイナミックパッケージ

予約も欧米豪に比べ直近まで販売するため、航空とホテル以外の入場や体験プログラムや食事などをオプション販売するところもほとんどありません。つまり、いくらそれらをPRしても取り扱えないわけです。

しかし、Webサイトをよくみるとこんな商品も見つかりました。台湾の老舗大手である五福旅行社のWebサイトには「Mini Tour」という項目があります。

五福旅行minitour
台湾五福旅行社のMini Tour
五福旅行のMinitourの行程表
Mini Tourは滞在中のコンテンツが全てパッケージされていた

最低催行6名で滞在中の交通や入場を全てパッケージしたツアーで家族旅行が多い台湾には重宝しそうです。

移動は恐らくミニバンやジャンボタクシーが想定され動きやすく、キャパのない施設も設定候補になります。

インバウンドの受入れになれない地方でも個人客と同じキャパであればその扱いやすさから受入れの幅も広がるでしょう。

まだまだ設定コースも少ないですが、行程を考える必要もなく楽ですから今後人気が出ると更に設定も増えるでしょう。Webサイトをよく見れば、商談先の旅行会社ととの協業の可能性が見いだせるかもしれません。

是非検討し欲しいアイデア ツーリズムEXPOジャパンの会場でのBtoB商談

さて、これまでVJTMの商談で成果が出ない理由について考えてきましたが、ここで全く違う発想もあり試して欲しいと思います。

それはVJTMの会場ではなく、この旅行博のメインである「ツーリズムEXPOジャパン」(以後TEJ)における商談活動です。

 (2025愛知・中部北陸 https://www.t-expo.jp/

同会場で実施されるこの大がかりな旅行博は一般来場者向けの賑やかな旅行博覧会ですが、前半の2日間は業界関係者のみのBtoB日に設定され各ブースで商談枠も設けられています。

DMOや地方の観光行政や観光協会はVJTMとこのTEJの両方の出展をするところが大半だと思いますが、恐らくインバウンド担当者はVJTM側に集約しているのではないでしょうか?

もちろん商談相手は国内の旅行会社が主体となりますが、この時勢、やはりランドオペレーターが数多く商談に訪れます。やや元気がない国内旅行のセクションより、むしろ訪日関係が多いでしょう。(私のサポート先もそうでした)

つまり、この商談においては、もはやVJTM=インバウンド TEJ=国内旅行ときれいに割り切ることはできないでしょう。

地域の観光行政にとってランドオペレーターは日本語で意思疎通もしやすく、通信もしやすく後日のフォローセールスも容易です。その先に海外の旅行会社が通じているわけです。

TEJこそDMOや観光行政にとっては目先の案件や、今後の活動につながる情報を得やすいある意味「隠れたインバウンド商談会」と言えるでしょう。

  

私はインバウンド誘致においてはDMOや観光行政はこちらの商談も一度試すべきだと思っています。インバウンドの知識があるスタッフを一度TEJ側にアサインしてみる価値はあると思います。

さて、いかがでしょうか。いくつかのポイントを書きましたが何かヒントになることがあったら幸いです。

年に一度の地域の地域の観光ビジネスを育てる機会。是非、VJTM、TEJ共に盛り上げ、観光地域づくりに繋げて下さい。

(MTBSからのお知らせ)

MTBS森田観光ビジネスサポートでは、VJTM商談に向けてのDMOや観光行政のプログラムづくりやマーケティングのサポートを実施しております。来年の参画に向けてお気軽にご相談下さい。

夏の田んぼと青空の風景
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