Last Updated on 2024-12-28
前回は「YouTube検索」が旅行・レジャーの行き先や訪問スポット選びに影響を与えていることをお話しました。
観光庁の訪日外国人消費動向調査(現:インバウンド消費動向調査)の調査データでは「旅行出発前に役に立った旅行情報源」は個々数年で、ほとんどの国・地域において「動画サイト」がトップになりました。動画サイトとは即ちYouTubeと言えるでしょう。
■前回記事: 「旅行・レジャー集客 知らない間にYouTubeが影響している」
前回は国内旅行における検索シミュレーションを三重県を例に実施。今回はインバウンドにおける検索シミュレーションをYouTubeとWebの両方でしてみました。
コロナ後、日本の訪日客数は順調に推移するも、滞在が集中する都市や観光地では「オーバーツーリズム」を懸念する報道も増加。インバウンド市場の地方、郊外への拡大は益々大きな課題となっています。
地方におけるホテルなど宿泊施設の不足もありますが大がかりな投資が必要で時間も要します。先ずは現在滞在している都市部からの日帰り観光に訪日客が動機を持つことが何よりも大切でしょう。統計的には多くの訪日客が日本の地方郊外に関心を持っており、移動距離や時間についても日本人より許容が広いという点も期待できる要素です。
地方郊外の日帰り旅行の動機を与えるものは何でしょう?もちろん、その地域のモノやコトが重要なのは言うまでもありませんが、そもそもブランディングされておらず名前も知らない地域は何かのきっかけで知る必要があります。そのきっかけはWeb上でつくる必要があり、滞在地と紐付けることは一つの手段と言えます。(パンフレットや本ということもあるでしょうけど数としてもはやWebが圧倒的です)
「京都」と「東京」に数日滞在する訪日客は多く、そこから日帰りの1日旅をしようとする人は少なくないでしょう。実際に「day trips from」まで検索窓に打つと旅客が世界の滞在地周辺の訪問先を探していることをGoogleサジェストが教えてくれます。
Googleサジェストはご存じの方が多いと思いますが、ユーザーの検索ボリュームなどをもとにGoogleが表示する検索者への支援ツールであり、これをユーザーニーズの調査に便利に活用できます。

本題に戻りましょう。今回の検索ワードは京都と東京からの1日旅です。
➀「day trips from kyoto」
➁「day trips from tokyo」
「YouTube検索」と「Web検索」の両方を行い、検索結果上位10位までのコンテンツで紹介された都市やエリア、スポットなどをカウントしてみました。(2024年8月時点) 検索結果上位10位程度まででCTR(Click Threw Rate検索結果のクリック率)が1ケタに落ちると言われており、大多数の検索者に影響を与えるのは10位程度までと考えます。
YouTubeは言語、地域を米国にして。Web検索はシークレットモードの上「USA検索」にて実施しました。
USA検索は私はこのURLを使いました USA検索
「cafe」と検索すると現在地はオクラホマ州でした。

その他、以下のような要件です。
*スポンサーは含まない
*Q&Aや口コミサイトのフォーラムは含まない
*京都市内、東京都内のスポットについてはやや中心から外れた郊外のみ
*発信者が紹介しているスポットは都市、特定施設、スポットやエリアなどが混在するがそのままで
*Webページで一度に数多いスポットが紹介されている場合は25スポットまで
出現回数はYouTubeとWebを足した数。それぞれ分けて記載しても良かったですが、結果として実に2つは大差なく、大体が半々と考えていただければ結構です。
出現地トップ5

先に述べた通り、YouTubeとWebのどちらかが突出しているところはほとんどありませんでした。(最も差があったのは宇治のYouTube=4回、Web=1回)
京都は日本を代表する欧米豪の滞在地。周辺の地方、郊外エリアの方々はその市場は正にインバウンドビジネスとしてターゲットであります。京都から1時間程度位内のあなたの地域への訪問は十分検討ができます。この結果の中にあるでしょうか?
広島や岡山など日本人の感覚では「ここが日帰り?」という場所も上位にありますが、レースパスを持つ訪日客にとっては新幹線では想像より遠くへ行けます。例えば滋賀県の彦根や米原、長浜などの北部の方に「ここは京都から遠いですから・・・」と言われるのですが米原は京都から新幹線で19分です。彦根や長浜も米原からタクシーで3~4千円程度のようですが、それならばタクシーに乗る人は多いでしょう。
さて、私は実にこのday trips from kyotoの検索をずっと続けており、検索結果の変化があることがよく解ります。コロナ前のインバウンドピークであった2017~2019年頃は、検索結果上位に個人系のトラベルブログが並んでいました。ブログと言っても立派なビジネスサイトですが。Googleは定期的にアルゴリズムを変更していますが、今後もまたこうした個人系サイトが上位に来るようなこともあるかもしれず、結果内容はまた異なるものになるでしょう。
YouTubeは今も法人やメディア会社などではなく個人系のYouTuber、vlogerが上位を占めています。それらの変化も定期的に見ると面白いものです。
私個人の感想としては少しひっかかったのは奈良です。第1位に輝いた奈良は喜ぶべきところですが、奈良の大きな課題は宿泊比率を上げることです。「奈良は京都からの日帰りの場所」というイメージを払拭したいわけですが、インバウンドにもそのイメージが定着することは喜べない点です。奈良はハイエンドなホテルも増えているので何としても宿泊比率を上げて欲しいものです。
その他、国内旅行においても観光地としてはあまり知られていないものの魅力ある地域は京都から1時間以内圏内には数多くあります。想像通りの結果ですが、それらがインバウンド市場でほとんど認知されていないことが地方分散にとってもったいないことです。
特に滋賀県は京都からはJRで琵琶湖の東も西も大変便利がよく、歴史的にも交通の要衝ですから歴史文化遺産も多く、加えて琵琶湖や周辺の山々の大自然も有しています。この一覧にあるのは京都市と隣接する大津(私が住むまち)そして忍者が動機の甲賀だけです。
滋賀県の各地がこうしたランキングに登場するためには基本的なWeb整備や運用の他、観光プロダクト開発などまだまだできることが多いでしょう。来訪すれば満足度高く、地域の観光経済にも影響が出ると確信します。
滋賀県守山市の商工会議所会報にてインバウンド市場について寄稿させていただきましたので関心がある方はご覧下さい。
その他、私がDMO業務でも関わる京都府南部の京都山城地域、また、京都市の北となる山間の自然が豊かな京都の丹波地域などもこうしたインバウンドに影響を与える媒体の上位に入ってきて欲しいものです。
さて、東京の結果です。さすがに首都圏は旅客も多いですが、地方郊外も開発が関西よりも進んでいることがよく解ります。需要が先か?コンテンツが先か? 卵と鶏のような話ですが、ここにない地方郊外も実績よりも市場の需要をキャッチして観光コンテンツづくりと誘致のための施策を打っていきたいものです。
出現地トップ10

いかがでしょうか、あなたの地域は出現していたでしょうか?関西の私は行ったことがないところ、聞いたことがあるにしてもその場所も正確に想像できないところも多いですが、東京には周辺に行くべきところがこれほど多くあるわけです。日本人よりこうした外国人のYouTuberやメディアのほうが日本をよく知っているかもしれませんね。
上位に並ぶ有名な郊外エリアのなかで健闘しているのが埼玉県の「川越」だと思います。東京駅からは電車で1時間少々、小江戸川越の一番外商店街のレトロな町並みが人気です。トリップアドバイザーでは口コミの半数以上は外国人。Googleビジネスプロフィールでも1800以上の口コミを集めWeb上で非常に良いスパイラルが起きています。もちろん日本人観光客にも人気です。
この商店街から次のスポットに展開していくような郊外エリア周遊で開発ができれば更に人気、露出も高まるかもしれません。
京都、東京には更に宿泊施設が増え、今後もインバウンドの滞在客が増加します。「我が町がリストになかった」という周辺エリアの方は、ランクインしているエリアやスポットがどのような観点、関心でYouTubeやWebサイトの主宰者に取り上げられているのか? 順に見ることはとても良いリサーチになります。
また、検索キーワードを変えるとまた結果がことなります。例えば、day tripsをday tourに変えると、ツアー商品の取材なども出るかもしれません。その他、CountrysideやSaburbsなどの単語に入れ替えてみても異なる結果が見られるでしょう。Googleはその都度、Googleがインデックスしている中でベストと考えるページ(インデックスするのはページ毎です)を表示させるはずです。
京都、東京以外の都市の方もインバウンドが滞在する主要としからのday tripsを検索してみましょう。例えば、札幌や福岡、名古屋など。私も少ししてみたのですが、それらの都市はどちらかと言えばまだまだ東アジアが主体の宿泊地でもあることからYouTubeやWebサイトの運営である欧米豪サイトでは京都や東京とは違う結果がでます。
そこからの日帰り旅を描くサイトが少ない場合は、そのエリア(札幌なら札幌)の観光スポット情報であったり、札幌を1日で回るおすすめ行程だったりが出現するかもしれません。Webのリサーチはもちろん、リアルの市場状況に合わせて検索クエリ(検索意図を変えて)を変化させてみましょう。
あとは、YouTubeの言語設定やWebブラウザを会社や自宅においてもできるだけ訪日客の環境に合わせるようにしてリサーチを行いましょう。訪日客は旅マエで行き先を探す人も多いでしょう。
USA検索など便宜上の位置偽装など私はよく使いますが、技術的なことまでは専門ではありませんので私があまり推奨するわけにもいかず、あくまでもそうした設定は専門サイトを見るなどをして自己責任でお願いします。

