旅行・レジャー集客とWeb集客が出来る社内の人材づくり

Web対策、先ず解決すべき3つの課題➁ 「Web制作会社に対する誤解」 

Last Updated on 2024-12-28

前回は検索エンジンに関することや外部サイトの影響など、Web全体の仕組みを知ることで、Web対策を行うための具体的な作業が見えてくるとお話ししました。

今回は、対策を進めようとする観光事業者が持つ課題の2つ目「Web制作会社に対する誤解」についてお話ししましょう。この話しはWeb制作会社の方にも読んでいただいても二者の関係性を深める上で良いのかなと感じます。

|「Webの事は全て制作会社に」という時代ではなくなった

私が仕事で関わる事業者の多くはWebサイトの制作や運営をWeb制作会社に依頼されています。Webサイトは、ワードプレスなどで自作もできる時代ですが、一定規模の会社となれば社内での制作にも技術的な限界が出てきます。

それらの事業者のパターンとして共通しているのは、Webのことは自社で解らないので制作会社にまるまる一任されているということです。現在に多いパターンとしては、制作が完了し公開された後は「お知らせ欄」と「ブログ等の自由掲載欄」の投稿だけを必要に応じて自社で行うパターンでしょう。

しかし「Webサイトとは改善を重ね、コンテンツを増やし育てるもの」

となれば、市場のトレンドや景況、ライバル社の状況や最新の商品やサービスの積極的な情報発信と、刻々と変わる経営環境に応じてコンテンツを対応させ集客につなげるのがWebサイトの役割です。

規定の更新欄だけの掲載コンテンツの変化ではアクセスが増えることは期待できないでしょう。

では、Web制作会社があなたの会社や組織に合った顧客ターゲットや商品のマーケティングを常に考えてWebサイトに反映してくれるでしょうか?

観光業界は歴史も古く、BtoCばかりではなくBtoBで成熟した部分もあります。また、個人客ばかりではなく、教育やスポーツなどの団体旅行もあり、昨今は国・地域も様々なインバウンド市場も急増しています。

変化も激しい上、業界の横のつながりも複雑な市場で、観光の専門会社でもないWeb制作会社にそれらのマーケティングを求めることは費用の問題ではなく知識と経験の上でとても難しいことでしょう。

例えば「レジャー白書では前年よりドライブが余暇活動で上昇していますから、駐車場利用の無料をもっと前面に押しましょう」とか「こちらから最も近い空港は夏ダイヤから台湾チャーターが開始されますから、今回のページは繁体字で訴求を強めましょう」そんなことまでアドバイスをしれくれる制作会社はあるでしょうか?ゼロではないかもしれませんが私はクライアントを担当される制作会社で一度もお会いしたことがありません。

そうした戦略を考えるのはやはりあなたの会社であり、その戦略を届けるのが観光ユーザーであれば、それは即ちWebに反映させる必要があります。経営会議などで決定されるそうした方針は紙のチラシや(どこで配るのか?本当に不思議です)従来メディアの広告を有料で出稿するなどしても何故かWebに反映されません。

そうした監修に疑問を抱いている若い社員がいるかもしれませんが、意見を出せるような風紀の会社もそう多くはなさそうです。やはり経営陣のみなさんから現在の時流に意識を変えてもらう必要があるでしょう。

時代の変化は早く、これまで馴染み顧客の紹介や、地元企業などの会社付き合いで一定数あった市場は、世代交代の時期を迎え、次世代の経営者や縁故で自動的に発生するビジネスがなくなっています。

伝統産業や老舗の飲食店などが少しずつ減っていく状況を見ながら、新規顧客との出会いの場となるWeb対策は手放しで制作会社に任せていてはいけない時代であることを痛感します。

大切な点は、現在のWeb制作会社に何か不足や落ち度があるのではなく、事業者があるべきかたちに変化すべきということです。Web活用力の知識と技術を高め、プロのWeb制作会社に技術的に依存する。この相互依存のかたちこそ最もプロモーションの効果を求められのではないでしょうか。

|多くのWeb制作会社はWebマーケティング会社とは違う

以上のことから、Web制作会社は観光マーケティング会社ではないという認識を持つ必要がありますが、では、Webのマーケティングにおいてはどうでしょうか。そこは任せておいてもいいのでは?と思われるかもしれません。

実はWeb関連の会社には制作会社とは違う「Webマーケティング会社」という専門会社もあります。いわゆるSEO(検索エンジン対策)やアクセス解析などの分析を通じたサイトの集客や導線づくりを専門に助言する会社です。

もちろん、Webのマーケティングという専門部分をそうした会社に丸投げしても良いわけですが、観光事業者は中小の大資本でもなく、Webへの集客で売上げに直結するECサイトサイト運営を行っているわけではありませんから、なかなかそうした領域までに予算を割けないことが大半です。もちろん大資本のチェーンホテルや交通等の会社ではそこまで専門的にマーケティングをされているかもしれませんが。

Web制作会社は社員が100名規模のような大規模な会社以外はやはり制作業務に特化しておりクライアントの事業のマーケティング作業などは実施していないのが普通です。私のクライアントの制作をされている会社(中にはフリーランスのWeb制作者も)は全てサイト制作の部分のみの業務でした。

これは当たり前と言えば当たり前です。クライアント自身がビジネスやWebに関するマーケティングの調査やアドバイスまでして欲しいなど依頼するところがないことと(要望もないのに仕事も受けられない)また、そもそもクライアント側はそうした予算も割かれていないという点があげられるでしょう。

よって、現在のよくある形式では、サイト公開後の運用はクライアント側で「お知らせ欄の更新」と「ブログ欄(自由欄)の更新」をワードプレス上で担当者が実施するという更新作業のみというかたちです。

ここまでの話しで、日本中ではWebの仕組みもよくわからないサイト所有者がWeb活用のための施策も打たずにお知らせとブログだけ更新しているという正にWebがほとんど活用されず、活性化していない状態のところが驚くほどに多く存在しています。

また、後に紹介しますが実はブログは使いようで、特に検索キーワードが合致すれば多くのアクセスを得ることもできるわけですが、もちろん、そうした仕組みも知らなければ、単にイベントや社員の日記のようなことだけが綴られることになっています。

制作会社としては公開時が納品であり売上げが一旦完了のタイミングですが、その後はページ内容の変更や、新規作成などの業務、ドメインとサーバーの管理をしているなどの程度かと思います。

事業者からすれば、マーケティング的には「アクセス解析を毎月送ってもらっているよ」と言われるかもしれませんが、それも恐らくアクセスの数や国・地域、ランディングページ程度の基本数値が帳票で出されたものではないでしょうか。

追々書きたいと思いますが、それらのサイト解析のデータを元に問題の仮説を立てて改善策を講じていく正にアナリストとしての業務工程が実は必要となってきます。「ページビューが増えた、減った・・・」と一喜一憂してもECサイトではない観光事業者は特に大きな影響もないでしょう。

|観光事業者とWeb制作会社のシナジーで最大限の効果を

会社や組織にとって大切な「集客」。そこに力を発揮すべきWebの運用においてWeb制作会社と十分な協力体制ができていないことを話してきました。

観光事業者とWeb制作会社が最大限のシナジーを求めていくためにはやはり相互理解を進める必要があります。

お互いの目標、目的を整理すると観光事業者の目標はWebで広告宣伝をし(Web集客をし)最終目的は売上げ増進。Web制作会社はクライアントである事業者からのオーダーを正確にデザイン良く制作し納品することでしょう。

繰り返しになりますが、そこに目標や目的が方向性は同じでも完全一致しないことを認識することが大切です。それぞれの役割を理解し合い、自社の目標に向けましょう。

その溝を埋めるためには双方が知識やノウハウの点で共通認識を持ち、努力して双方に接近していかねばなりません。その時に、私は前述した通り、複雑な経営環境にある観光事業者側がWeb知識を持ち、自社の集客ツールとしてWebを活用していけるようになるべき時代と考えます。

観光産業だけではなく、代理店制度が主流だった商習慣もインターネットの普及拡大によりますますダイレクトマーケティング化(直販主流の時代)が進んでいます。そうした時代に「自社のリソースでは無理だ・・・」と頭から言っていた時代を終え、自社で顧客獲得の領域を広げていくことをはじめましょう。

|Web制作会社への認識を深め理解する

官民も組織における観光ビジネス支援が私の普段の仕事ですが、観光事業者のWebマーケティング支援は、その業務の内製化も含めて大変重要な仕事だと感じます。その中で事業者とWeb制作会社の関係を繰り返して見る度に思うのは、双方の理解がすれ違っていることです。

そのすれ違いの種類は様々です。それはWeb制作会社に対する意思疎通しにくいなどの面での事業者の不満も少なくありません。しかし、それらはそもそも事業者側の理解のなさが原因であることも見受けます。

Web制作会社の作業に対して理解したい点で最も多いと感じるのは作業工程を想像するということでしょう。多くの方がクリエイティブ作業の経験がなく仕方がないことですが、クリエイターの制作仕事は恐らくあなたの想像を超えた時間と工程を要するものです。

例えば、小さなバナー制作1つにとっても、全体とのデザインの調和や、クリックされやすいサイズやカラー、メインビジュアルは写真かイラストか、文字のみでシンプルにするか、そのフォントは・・・想像以上の思考ポイントがあるわけです。

また、そうしたデザインは誰もが自分の頭からひねり出すものではなくて、Web検索で調査し多くのサンプルを見てヒントを得る作業はクリエイティブの現場では常套手段であり時間を要する作業です。全てを真似るためではなく、例えばホテルであれば「ユーザーが慣れ親しんだホテルのWebレイアウト」を大きく逸脱しないことが操作性の上で重要だったりするからです。(Web制作の心理的な法則として含まれます)

そうした必要な作業工程や時間の想像以外に、事業者からの作業オーダーが曖昧すぎるということも多いにあります。例えば「女性の方に見て欲しい商品で、ちょっと春らしい明るい感じでお願いします」とか・・・非常に感覚的でザックリとした作業オーダーでありクリエイターはまるでクイズを解くような作業をしているようなものかもしれません。

そこで出されたデザインが少し想像していたものと違うことは少なくなく、何ら根拠もない「主観だけのオーダー」により修正が繰り返され制作会社は疲弊してしまうわけです。それでも仕事を受ける側はなかなか文句も言えません。発注側事業者はそのことに気付けば、より効率良く、双方の精神衛生もよく実りある業務が果たせるでしょう。

|成果が出るWeb対策の第一歩

観光事業者とWeb制作会社の役割を認識し成果があるWebサイト運営を実施していくため事業者の役割を広げましょう。観光事業者はマーケティングで「左脳」を、Web制作会社は「右脳」で互いが強みを発揮する。

このWeb制作の左脳、右脳のコンビネーションをうまく回していくことで、今までにない強力な広報力をどんなに小さな会社でも持つことが出来るのがWebです。

観光事業者がそうして今よりも一段階上のレベルでWeb上での宣伝広報活動を行うことができれば、何もしなかった時よりもWeb制作会社への依頼が増え作業費も少しかかってきます。しかし、最終目的である売上げ増進に対する成果を上げていくことができるでしょう。(Webのコンテンツマーケティングはすぐに結果は出ずコツコツ継続的に)

資本力がなく広報宣伝に大きく予算を掛けられない、或いは、地方の田舎だから名も知られていないというあなたの会社ほど、大資本と戦えるのが「Web活用力の向上」だと思います。

次回は、そうした戦略に必要な社内の体制について見てみましょう。

春の青空に純白のハクモクレンが甘い香りを放つ         MTBS PHOTO Adobe stock

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