Last Updated on 2024-12-28
➀Webの仕組みに対する知識不足
➁Web制作会社に対する誤解
➂Web業務を進めるための体制不足
前回はWeb制作会社に対する観光事業者の認識の違いからWebによる広報PRが効率的に行われておらず、相互依存しながら成果を出すためには観光事業者自らがWebの仕組みについて学び、Web制作会社と協業することでプロモ-ション効果が最大限に発揮できるという話しをしてきました。
今回は、Web活用を本格的に進めようとする際にその足かせとなる中小事業者によくある社内の体制不足についてお話ししたいと思います。組織の経営者や幹部会議メンバーである方々には認識して欲しい大切な考え方となります。
観光事業者は個人経営から10店舗以上もチェーン店を展開されているところなどその規模は様々です。その組織構成も業種や従業員数によっても異なりますが、あなたの会社ではWebを扱う担当者はどのセクションに位置付けられているでしょうか?
そもそも土産店や飲食店、体験サービスや入場施設など、現場でのサービスが業務の中心となることが多い観光事業においては社員数が少ない会社も多く「広報部」として独立した組織が設置されていることのほうが少ないと思います。
Webは広報に属することが多いことから広報部自体がないとなれば明確なWeb担当者は存在しない可能性もあるでしょう。そうしたケースでは経営者自身がディレクター的な存在となられているも多いかもしれません。
また、飲食店や小売り等では「店舗運営」と「事務」の表と裏の2つに業務分担されているケースも多いでしょう。つまり、店舗や現場サービス以外の仕事を行う事務系の担当者が、経理や総務の窓口業務を行いながら、自社Webサイトの管理業務も兼任するケースです。
逆に、地域で複数店舗を展開されているようなホテルなどは、昨今、料飲施設を持たない宿泊特化型が増え、従業員数もシティホテルに比べてコンパクトです。従って、従業員数がそこそこあるシティホテルなどのような枝分かれをした組織体制が組まれていないことが多いのではないでしょうか。
ほとんどの業務の責任者は「支配人」が管理していますからWebの管理も支配人が行っているでしょう。そうなれば支配人は多忙なことが多いため、その会社のWeb活用はなかなか進みにくくなります。 こうして、小規模事業が多い観光事業において、Webの扱いはある意味「片手間」の作業として扱われることが多いというのもこの業界がWebマーケティングに関心が生じにくい理由の一つかもしれません。
会社や組織によって様々なWebの実務を行う担当者。では、そもそも「Webの担当」と言ってもその担当者は具体的にどのような作業を行っているでしょうか。
恐らく普通は「自社のWebサイトに関する仕事」と「SNSの更新」を行うのがWebの担当者の仕事でしょう。SNSは自社で発信するでしょうが、Webサイトの修正等は、Web制作会社と相談し作業を進行させていく作業が主な業務になるでしょう。
それらWebサイトやSNSでの発信事項は、経営者の指示や経営幹部の会議で決定したことなどが多いと考えられます。つまり、Webサイトのコンテンツについて営業や企画、クリエイティブな観点で担当者が任されていることはあまり多くないと感じます。
つまり、中小の観光事業者おいては、Web担当者の実際の作業はマーケティングやクリエイティブと言うよりも事務仕事の部類に入ることが多いかもしれません。あなたの会社ではどうでしょうか?
このように、Webの担当者の主な仕事は「自社Webサイト」と「SNS」の更新や管理、Web制作会社との業務進行が主であることを見てきました。
しかし、「Webを活用する」とは自社サイトとSNSだけではなく、それらの自社媒体(オウンドメディアと呼びます)を効果的に活用するための様々な作業があります。
また、自社媒体だけではなく、外部の企業や団体が運営する様々な外部サイトが自社に大きな影響を与えています。その影響を調査したり、活用することを考えることがWeb活用では必須の作業となりました。
それぞれの作業の詳細については今後、個々に触れていくこととして、今回は、社内のWebの担当者には、どのような業務があるのか?下の表に大まかに列挙してみたいと思います。
| ➀自社Webサイト | 「お知らせ」や「ブログ」等の更新部分の企画、考案、制作(撮影や執筆) |
| ➁ 〃 | 必要に応じた商品、サービスの変更や新規ページ制作(Web会社と連携) |
| ➂ 〃 | Webユーザーからの予約や問合せに対する処理(社内各部署や人との連携) |
| ➃ 〃 | アクセス解析の実施と改善点の仮説立案と対応の検討、改善の実施 |
| ⑤Googleビジネスプロフィール | 「口コミ分析と対応」「写真追加や削除」「アクセス解析と施策検討」「情報更新」 |
| ⑥各種口コミサイト | 「トリップアドバイザー」や「OTA」「体験サイト」における口コミ管理と情報更新 |
| ⑦関連の外部サイト | 掲載対応や情報提供による取材依頼、トレンド調査や競合他社の掲載情報チェック |
| ⑧同業他社サイト | 掲載内容や企画、営業内容のチェック、口コミのチェック |
| ⑨SNS | Facebook、インスタグラム、Xなどの企画、コンテンツ制作(執筆)と投稿 |
| ⑩YouTube | 業界のトレンド状況(キーワードによる上位サイト調査)や他社の状況 |
| ⑪業界関係者との連携 | 自治体や観光行政への情報交流と各Webサイトへの掲載と素材提供など |
| ⑫インバウンド関連 | 媒体の多言語化やニーズ、嗜好の調査、国・地域別のマーケティング |
| ⑬プレスリリース発行 | Webサイトと連動した新商品や企画のプレスリリースページの作成と発行(広告) |
このように、パッと思いつく大まかな項目でも自社サイトとSNS以外にも自社のWeb活用力を上げるために実施すべき作業が今の時代には数多くあります。
Web担当者が実施する大まかな作業をそれぞれ1行で書き出しましたが、1行であっても相当な時間を要する仕事も含まれています。
例えば➀自社サイトのお知らせ欄やブログの更新にしても、記事内容を考案するだけでも「白紙から記事生み出す」という作業はその作業をした人にしか難しさは解らないでしょう。
⑤は「口コミ」が重要になるなかで常に口コミをウォッチしてクレームには即座の返信が肝心です。⑥の各種サイトの調査も内容によっては集客に大きく影響するものがあり、自社への影響を細かくチェックする必要があるでしょう。
⑧の同業他社サイトや同業他社のことが書かれた口コミサイトなどの関連媒体をチェックすることも、思いも寄らない商品やサービスでライバル会社が人気を集めていたりすることを発見できます。また、自社の商品づくりにも大いに参考になるものでしょう。
このように、Webの活用とは自社が発信するWebサイトとSNSだけの世界ではなく、広くWeb全体で巻き起こっている消費者のトレンドや評判、Web上で力がある媒体がどのように自社に影響を与えているのか、また、YouTubeなどの動画で自社業界がどのような評価をされているのかなど膨大な情報からWeb活用の糸口を発見する毎日のルーティン作業と言えます。
こうした作業はとても事務やサービスの担当者が片手間でできるものでは決してありません。経営者や経営幹部の方々は、情報戦でもある現在の観光経営において、他の業務は兼任であっても、Web担当者は広報担当として専任にすべきと考えます。
専任担当者はいきなり挙げたような作業を行う知識がないかもしれませんが、自社で学べるソースはインターネット上に数多く存在しており、Webマーケティングに関する作業は内製化もできる時代であることに気付かれることが大切です。
既存の大企業らによるプラットフォームとうまく連携しながらも、自社で行うダイレクトマーケティングの力を育てていきましょう。中小の観光事業者が大企業に負けない力を発揮できるのがWebなのです。

