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訪日客の旅行消費額 「欧米豪は高単価」「アジアは低単価」は本当か?

Last Updated on 2024-03-28

インバウンドを推進する大きな意義はもちろん「経済づくり」です。(インバウンドだけではなく観光事業全体がそうでしょう)そして、インバウンド市場においては、より高単価、高付加価値を意識した誘客や商品、サービスづくりが課題として取り上げられるようになりました。(訪問地の分散化や観光公害等が起因しますがこの話しはまた)

私たちの多くが抱くイメージは「欧米豪=消費額が高い」「アジア=消費額が低い」ではないでしょうか?

国の施策においても「高単価な欧米豪客の誘致に力を入れて・・・」というような言葉もよく見聞きします。

果たして、それは絶対的にそう言えるでしょうか?見方によってはそうでもないかもしれません。

欧米豪客とアジア客の大きな違いは?と聞かれて意外にもこの答えを即答する人はあまりいないと思いますがそれは「泊数」滞在日数です。当たり前と言えば極めて当たり前なのですが、消費額の話しをするとき、私たちはそれを見逃しがちです。実は、滞在日数1日あたりで計算すると、決して欧米豪が高く、アジアが低いとはいちがいに言えないことがわかります。

|1人当たり消費額だけに着目すると?

インバウンドの消費額については様々な媒体で紹介されますが、そのもととなるのはご存じの通り国土交通省、観光庁の「訪日外国人消費動向調査」です。皆さんもご覧になられているでしょう。

「観光庁 訪日外国人消費動向調査」

2019年の数値をおさらいしましょう。

●旅行消費額(総額)  4兆8,135億円
●1人当たり旅行支出    138,531円

それらのデータにおいて「どの国・地域が沢山お金を使ってくれているのだろう?」という基本的な疑問に答えるのが、国・地域別の旅行消費額、そして、1人当たりの消費額です。もちろん、地域や事業者にとってより身近に感じるのは「1人当たり消費額」でしょう。

●訪日外国人1人当たり旅行消費額

1位オーストラリア247,868円
2位英国241,264円
3位フランス237,420円
4位スペイン221,331円
5位中国212,810円
観光庁:2019年の訪日外国人旅行消費額(確報)

1人当たりで消費額が多いのは欧米豪の各国が上位を占めます。ちなみに6位以下もドイツ、イタリア、米国、カナダなどが続きます。

やっぱり欧米豪は1人単価を沢山使ってくれているのですが、それは日本全体として、つまり「お国」としては歓迎すべきで、日本全体の観光消費額を上げるための原動力になるのが欧米豪であるのは間違いありません。

|東アジアや東南アジアの訪日客は消費をしてくれないのだろうか? 

日本でたくさん消費してくれるのは欧米豪。では、アジア各国の訪日客はやはり消費してくれないのでしょうか?

その答えは「視点」よって異なります。

あなたが、日本全体でインバウンドを考える立場であれば(例えば国の機関)        それは「YES」

あなたが、一都道府県や一事業者として考える立場であれば(例えば観光行政や民間事業者) それは「NO」 です。

これまで訪日外国人が来日してからの行程などに触れてきましたが、大まかに以下の通りでした。

●欧米豪
欧米豪の航空路線の基点となるのは東京と大阪のみ(ほぼ)。そこを基点に主に新幹線を使ったゴールデンルートや北陸ルートを辿り、日本滞在が比較的長い。(1~2週間など) 

●アジア各国・地域
来日する空港の拠点は、東京、大阪に加えて、日本の地方各都市に機関限定の「チャーター便」も設定。北海道や沖縄、中部名古屋など大都市圏にも多数就航しており、日本の各地を拠点に比較的狭い範囲、短い滞在日程で訪日、リピートをしている。

めったに来られない遠方の欧米豪各国は長期休暇を取る慣習もあり滞在が長い。
東アジアは日本と同様で、近いからこそ短期滞在で何度も日本をリピートする層も多い。

つまり「滞在日数」に大きな違いがあります。そして、日本の旅行消費は滞在中の合計額。周遊行程の中の1日や2日の接点しかもたない各都道府県やそこの事業者にとっては、国全体で考える合計額というよりも、1日、1日で使ってくれる消費額こそがインバウンドのターゲティングを考える際に参考になる数字になるはずです。

そこで、各国の平均滞在日数も統計に出ていますから、各国・地域の旅行消費額を滞在日数で単純に割ってみました。

2019年 国籍地域別の訪日外国人1人当たり旅行支出総額と1日当たり平均支出の表

これをもとに、「滞在中の1人当たりの総額」と「1日当たりの支出額」を上位10国・地域で比較してみました。青が欧米豪、黄色がアジアです。

訪日外国人1人当たり旅行支出寿にと1日当たり順位の比較の表

いかがでしょうか? あくまでも計算上でありますが、何もアジアは消費額が少ないとは一言で言えないことがわかります。実際に事業者の皆さんにとって「今日使ってくれる金額」こそが参考にしたいものではないでしょうか?

アジアの各国地からは地方空港へのチャーター便就航も増える中、ゴールデンルートには関係なく、北海道や東北、九州など地方を短い滞在期間で訪問する訪日客はいます。

「欧米豪旅客はいつも思ったより買ってくれない」「アジア旅客が予想以上にお金を使ってくれる」そうしたことはどこにでもあることがこうしたことから解ります。

私はかつてのアクティビティ時代、欧米豪客と共にツアーを巡ったりしたものですが、彼らは観光シーンにおいて、それほどしょっちゅう財布を開いてあれこれ高額な物を買うということもなく、どちらかと言えば、割と安い小さなお土産物を買うようなシーンも多かったです。もちろん、ホテルや食事にお金をかけるという価値感がある方もありますが、「どんどんお金を使う」というイメージは正直ありませんでした。

アジアの方も基本、節約型の方が多いものの、有名なレストランやブランドの服、その土地で人気のバッグや伝統品などは惜しみなくそこそこ高価なものも買物されています。

メディアで見聞きすること、既成概念となっていることは一度見方を変えてみる

このように「欧米豪の訪日客はとにかくお金を使ってくれるのだ、お金持ちが多いのだ」というイメージは誰にでもありますが、見る角度によっては決してアジア訪日客が節約旅行ばかりをしていることはありません。

インバウンドは日本でも産業として成長し、旅行以外の様々な業界にも注目されています。しかし、メディアを通じて毎日溢れる情報は私にとっては「ちょっとそれは違うかなあ・・・」という見解や誇張したニュースも実は少なくありません。(観光業界に精通していない人たちがにわかな知識や主観で流す情報ですから仕方ないのですが)

観光ビジネスの成果を目指す皆さんは「その真実を見極める視点」を持つことが実りあるビジネスで大変重要になります。産業としてのインバウンド市場の拡大をビジネスにしている会社や組織、私のようなコンサルタントは増え続けており、それらには観光流通など恐らく詳しくはないであろうということもどんどん増えています。

常に、世間で当たり前になっているこれらのイメージを観光業のプロとしての物差しを当ててみる習慣を付けるようにしたいものです。

「私たちの地域はアジアの訪日客が大半だから観光消費はあまり期待できないね」

「高単価のモノコトなんて考える必要もないのかな?」

そんなことは決してなく、ゴールデンルート以外の各地方もどんどんビジネスを推進していきましょう。

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