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自転車観光との出会い 観光業界再デビュー~独立へ

京都での自転車観光との出会い

Last Updated on 2023-09-27

|観光業界 カムバックの決意~独立へ

(前回からのつづき)

多賀一雄氏が率いる京都サイクリングツアープロジェクト(KCTP)は、現在の「自転車」なのか「観光」なのか主題がよくわからないサイクルツーリズムとは違い、徹底して「観光」に軸を置いた、正に日本における自転車を使ったツーリズムの第一歩でした。

自転車のエキスパートがメンバーに揃いながらも「走ること」ではなく「観光すること」を追求したサービスです。とは言え、徹底した安全対策やきめ細かなサービス、ガイド品質は、欧米豪のハイエンドたちから満点レビューが続々寄せられることとなります。

そんな多賀氏は、経営者として更なる観光市場への可能性を追求、一方、メディアでの仕事が一段落となりつつある私と自然にベクトルが合うようになりました。かくして、観光業へのカムバックを決意することとなったのです。

|そこまでやるか! の高品質なオリジナル自転車を製造

多賀氏の自転車観光への姿勢は言わばミリ単位の精度、きめ細かさで計算された、徹底したギアとサービスの品質向上がなされていました。

「サイクリングが目的ではなく、観光が目的」ですから、いくらゲストがヨーロピアンであっても一般観光客が乗る自転車は、もちろんロードバイクとかクロスバイクではダメなのです。(他所はもっぱらこういった“サクルツーリズム”ばかりですが)と言っても日本のいわゆるママチャリでは1日20㎞や30㎞も想定した走行能力は期待できません。

所有、数百台規模を想定するため電動もダメ。ではどうする?「ないものはつくるしかない」ということで、驚くことにオリジナルで開発した言わば“スーパーママチャリ”のような観光仕様のオリジナル車の製造にいきつきました。

シマノのInter8という絶対にチェーンが外れることがない特別な構造の内装式8段変速を備えたもので、ここでは説明を省きますが「銀輪」という、乗ればその凄さが解るすごい自転車でした。何せ、京都の鴨川から通りに上がる坂も女性でも乗ったままに上がって行くことができ、観光でやってきた欧州のプロサイクリストにも一目を置かれました。

|顧客満足の追求 徹底したガイド品質の向上

観光アクティビティであるからこそガイド品質には徹底したこだわりがあり、所属ガイドの条件は通訳案内士資格の保有者でした。ただ、ガイドは案内士であれば誰でもよいということではなく、京都のガイド知識だけではなく、自転車走行のための道路交通法など法規の知識やマナー、手信号や車、歩行者などへの安全対策など、実地の訓練はもちろん、何と検定試験まであり、それをクリアしてはじめて自転車ガイドとして登録、業務につける厳しい仕組みでした。

恐らく、そうしたレベルで構築された自転車アクティビティは他にはなく、欧米豪系のランドオペレーターや海外のエージェントとの取り引きを一気に拡大することとなり、私はその窓口として多くの市場と関わることとなりました。

もちろん、BtoCの市場においても、プロのガイドが案内する自転車ツアーは欧米豪ハイエンドたちに絶賛され、Webサイトやトリップアドバイザーの評価などで知名度が一気に拡大。私は、インバウンド市場でより高度な世界であるBtoBのインセンティブツアーなどMICE市場への自転車観光の投入をしていくことになり、利用者数を拡大していくこととなりました。

京都サイクリングツアープロジェクトの時代に担当したグループのサイクリングツアー 森田が撮影
担当をした、当時のツアーの記録 東京の高校生による300人の琵琶湖一周もマネジメントした 京都KCTP
|京都における自転車アクティビティ業界の変遷 そして独立の道へ・・・

時代は「モノよりコト」と言われ、その先端とも言えるアクティビティ事業での仕事は急速に拡大しました。そのお陰で、特に欧米豪のFIT(個人旅客)やグループの流通、富裕層やハイエンド、そして、教育旅行と幅広いジャンルや国籍、地域について、これまでの東アジアとは全く違う知見を積むことができました。

そんななか、KCTPを追うように京都では同業者が年々増加しました。当たり前ですが、エンドユーザーに人気があるものは事業者も同時に増大します。そのため、京都は世界的にも有数の自転車観光のまちとなりました。

訪日客の全体数も増えるなか、京都の混雑ぶりが徐々に目立ってきました。冬や夏は比較的観光客が少ない京都も、季節波動がないインバウンドが来訪し、すっかり通年で賑わう観光地になったのです。真冬の寒い時期には、オーストラリアから多くの観光客がスキーとのセットで京都に来てくれます。

そこで難しさが出てきたのが自転車の走行です。自転車観光は事業者がいくら努力しても、その環境がなければ成立しません。環境というのは、そもそも欧州のような自転車走行環境がない日本の道路をはじめ、観光する先々の駐輪設備、そして、市民(住民や車)の理解などです。

故に、京都市の行政などの多くの協力なども得ながら進める必要があり、一般に知られないそうした地道な自転車観光環境を行政などと進めてきたのが多賀氏であり、そのことがあっての今の京都の自転車観光があるのは間違いありません。これは、新参の他の事業者は全く知らないことでしょう。

そのように利用者とともに事業者も増大し、走行環境も難しくなってくるなか、自転車観光ブームも一段落しました。ホテル時代同様に私の周りの関係者からも「そろそろ独立時なのでは?(観光コンサルとして)」と囃し立てられることも増えました。

利用者数にもかつての勢いがなくなってきた段階で、現在の仕事である観光マーケティングコンサルタントとしての準備をすることとなり、1年間の準備期間を経て(インキュベーションに籠もり事業の準備のため様々に学びました)独立することとなります。

KCTPでの経験は欧米豪市場のノウハウやネットワークとともに、体験アクティビティの造成や運営など、今後の業務にも大きなプラスとなる普通ではできない貴重な経験ばかりを積ませてもらい大変感謝しております。

|これまでの感謝、そして、これから

こうして、ホテル、メディア、アクティビティと、何の企てもなく本当に偶然に、マーケットコンサルタントとしての必要な観光事業にとって重要な要素を30年以上に亘って学ぶことができ、現在の私の仕事があります。

そこで関わることができた多くの方々、特に、転機において不思議と現れご縁を下さった方々に改めて感謝の意を述べたいと思います。

これからは、私を必要とされる方にそれらの知見とノウハウを共有し、事業者や観光行政とともに、日本の観光経済の発展に貢献をすることが仕事人生の総決算だと思っております。

鴨川沿いを自転車ツアーを楽しむインバウンド旅客 担当したグループ
鴨川沿いを自転車ツアーを楽しむインバウンド旅客 担当したグループ
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