Last Updated on 2024-12-28
前回はWeb活用に関する考え方と、業務改善を行うための大切な準備を見て来ました。
過去の記事 「社内体制づくりの準備」
具体的なWebの改善作業の前に、それに取り組む目的や価値を社員全員が認識することがとても重要です。
ついつい経営側と担当者だけで進めてしまいがちですが、現場社員も同じ目的や価値が共有されないと笛吹けど・・・の状態になってしまうものです。前回もそれについて書きましたが会議の場や通達で全員のベクトルを合わせましょう。
Web活用は、お客様への情報発信ばかりを考えてしまいますがそればかりではありません。会社の運営を応援してくれるステークホルダーや自社の社員にまでも影響を与えています。順に見ていきましょう。
観光にまつわる検索をすると多くの観光情報がWeb上に溢れており、ホテルなどの予約サイトも数多く存在します。しかし、ユーザーはそれらの情報や販売サイトだけを見て即座に予約を決定するでしょうか?
もちろん、他店と大差なくあまり施設にこだわらないという人にとってのビジネスホテルなどはそのまま予約されると思います。しかし、旅行・レジャーにおいてホテルでの食事や滞在時間も考えるような場合、公式サイトをチェックする人は多いでしょう。
自社サイトはもちろん、情報の構成がほとんど画一的でもあるそれらプラットフォームのページにはない「ホテルの個性」や「そこで働く人」が感じられるものです。また、より詳しい関連情報の掲載も期待できます。
外部の予約サイトで利用先としてほぼ心に決めたユーザーは「そこで予約する理由」を探しているのかもしれません。
その最後の一押しをするのが自社のWeb作業であると言えます。
そこで訪れた公式サイトが、何だか野暮ったく、古めかしく、写真や文章も冴えなかったらどうでしょうか?
まあ、盆や正月、GWなどでなければ、今の時代、ユーザーの選択肢は他にいくらでもあるわけです。
巷では集客には多くの人が「インスタ、インスタ」と言います。TVでも人気の繁盛店のVTR後にスタジオでは決まりセリフのように「やっぱりSNSですね~」と。
確かにそうした店があり、そこを取材しているのかもしれません。しかし、大半の店舗は同じようにはいかないのは何故か?をよく考えるべきでしょう。商品や掲載の技術もありまあすが、そもそもWeb上で最初に利用客とマッチングしているのはインスタではないケースも見受けられます。(あたかもインスタグラムが全て集客しているようですが)
そうしたあまり根拠も解らないような話しで「インスタグラムが集客の最短コースなのだ」と経営者の方が思ってしまうのも気持ちは解ります。しかし、自社のWebサイトもないままにインスタグラムだけある(少し前はフェイスブックだけ)店は根本的にWebの仕組みを学ぶことが新メニューをつくるより先だと私は思います。
店舗のWebサイトを見て詳しい情報を見ようとGoogleビジネスプロフィールのWebサイトリンクをクリックすると、それがインスタグラムである店は今でもあります。そこには欲しい情報はなく映えを狙った写真ばかりが並びます。
今時の飲食店では食べてそんなに不味いものもないと解っています。それより大切なのは食事をするシチュエーションであってそこで過ごす時間を求めている人が多いでしょう。家族と友達と、時には会社の接待で・・・店の雰囲気やテーブル、調度品、アクセス、人、店のこだわり・・・ それが知りたいのに情報がないわけです。
私の娘は20代、日々インスタグラムを見てはあちらこちらの飲食店に友達と出かけています。先日質問してみました「インスタの写真だけを見て店を決めるのか?」と。すると、最近は「写真を見て、次はGoogleとホームページを必ず確認する」と言ってました。
もはや「映え狙い」の店も多く、現実とのギャップも少なくないそうです。彼女らがGoogleと言っているのはビジネスプロフィールのことです。つまり「口コミ」が店舗利用の決定要素になっているのは言うまでもありません。
Web活用の基本は、それらのユーザーの行動を想像することが基本です。そこではじめてWeb上で考えられる施策が打てます。外部サイトや口コミは自社では変えられませんが、ウォッチすることでリスクを減らすことは必ずできます。
また私のクライアントでも、いわれのない口コミは通報して削除できることも何度かあります。それがWeb活用のなかでの重要な作業。活用とは管理作業も多くあります。
経営者や幹部の方は、Webのリスク管理も意識する必要があるでしょう。その予防は、Web活用業務がもたらす価値と言えます。
Web活用業務で重要な1つがリサーチです。リサーチと言うと難しそうですが、旅行・レジャー客がどのように自社をWeb上で見つけることができるのか?それを徹底的に検索し、検証するわけです。
初めて訪れようとする場所の情報を探す時、多くの人は「場所名+○○○」と検索するでしょう。例えば、週末のドライブや旅先のレンタカーでのドライブを計画する際、先ずはシンプルに「関西 ドライブ」と検索してみる人は多いと思われます。
検索結果には観光情報をまとめて掲載するいわゆる「まとめサイト」が上位にいくつもヒットします。(旅行情報メディア、旅行キュレーションサイトなど様々に呼ばれます)運営しているのはメディア会社や旅行会社、ホテル予約やグルメサイトなどです。(アフィリエイトやホテル、レストラン予約などそれらのサイトの最終目的は異なります)
検索結果には思わずクリックしたくなるページタイトルが並びます。「関西のおすすめスポット20選」「関西の日帰りドライブスポット35選!」「関西の絶景スポット28選!」など。
では、あなたの店舗やサービスがその35選に入っているでしょうか?また、自治体や観光協会、DMOなどではあなたの地域がその35選の中に何カ所入っているでしょうか?
こうした上位にヒットするメディアは検索するユーザーに多大な影響を与えています。言わば、これらのサイトのページにランクインし、掲載されることもWeb活用ではとても大切なことです。
これらの掲載内容は個々の会社が行っていますが、東京の会社が多く、企画制作の業務も東京でなされることも多いです。つまり地元メディアではないですからこれらのWebメディア会社もはやはり構成の段階ではWebで情報収集をするでしょう。(勿論、地元系メディアもありますが、それでも最初はWebを見るでしょう)
また、旅行キュレーションメディアと呼ばれるサイトは全国の契約ライター(記事を書くことで収入を得る一般のライター)が情報を収集する形式も少なくありません。ライターは主婦も多いようですが、それらの個人ライターも最初のリサーチではもちろんWebで情報収集するのは容易に想像ができます。
そうしたランキング形式が多い旅行情報サイトを研究していると、かなり情報が重複していることにも気が付きます。つまり、Web情報によってまたWeb情報が書かれており、情報が連鎖します。
こうした旅行情報だけではなく、TVのニュース報道やバラエティ、情報番組の現場でも、TV局や新聞雑誌、地元の生活情報誌などはもちろんWebで取材先を探しコンタクトをしています。
私のクライアント先であるホテルでも、積極的なWeb施策で非常に多くの取材やインタビューをいただくことで大変良いPRの機会となっています。これもWeb活用の売上げ数字には現れない1つの成果です。
コロナ後、観光需要の回復と共に多くの業界で問題となっているのは人手不足の問題です。
団塊の世代800万人全員が75歳以上の後期高齢者となることで社会問題となっている2025年問題は、特に労働集約型の事業も多い旅行・レジャー産業にも大きな影響を与え続けると考えます。
「求人をいくら出しても人が来ないのですよ・・・」と多くの会社の方が言われますが、求職者に少しでも関心や動機を持ってもらうことを会社はシビアに考えていく必要があるでしょう。それに影響するのもWebです。
では求職者は求人サイトやハローワークの画一的な情報だけを見て応募されるでしょうか?特に、旅行・レジャーに関する事業は様々な種類があり、一般的な事務作業ではない仕事も多く、職場環境や仕事の様子、顧客の様子や交通アクセスなど多くの情報を得るためWebサイトにアクセスするでしょう。
給料の良さも大切ですが、自分のライフスタイルも尊重する時代です。働く環境や人間関係、働きがいや、として何よりその会社の風紀、考え方が求職条件であり、Webサイト上でしっかりとした説明が必要です。
そして、うっかり見逃しがちなのが自社の社員です。友達や家族に「私が働く会社はここ」と示すのは恐らく会社のWebサイトが普通だと思います。あなたの会社は社員の知人から「何か良さそうなところで仕事をしているのね」とその社員に言ってもらえるサイトでしょうか?
大げさかもしれませんが、自社の社員のためにも「自社のシンボル」としてWebの整備は欠かせません。
これらのことは、これまでWebをあまり意識しなかったミドル、シニアの経営者や幹部の方にとって新しい気付きもあったかもしれません。早急にWebサイトへの対策が必要と感じていただければ私も価値を感じます。
これは行きすぎではないと私は思うのですが、会社組織では「営業部」や「経理部」は当たり前のようにありますが、「Web活用部」なども普通に設置すれば良い時代だと思います。「広報部」「マーケティング部」がそうなのでしょうが、その業務も広いのでしょうかWebで正しく機能しているところを残念ながら見たことがありません。
多くのステークホルダーとの良好な関係をWebでつなぎ、ビジネスの繁盛を目指していきましょう。

