Last Updated on 2024-12-28
年々その厳しさが増すかのような日本の夏。ネットで世界の気温を調べてみると日本は東南アジアの都市より暑いこともしばしばです。日本の暑さが厳しいのは気温だけではなく湿度の高さ。これほど暑いとは知らず日本を訪れる訪日外国人の日本の印象が心配になります。
夕方になっても暑さ衰えない毎日。各地の最高気温は体温を超える地域もあります。世界的な観光都市である京都は周囲を山に囲まれる盆地であることから「うだる夏の暑さ」「底冷えする冬」でも有名です。京都の観光業界が抱える課題は、夏冬と春秋の季節波動の大きさを何とか平準化できないか?ということです。
その悩みの種であった季節波動を見事に緩和できたのがインバウンド市場でした。ちょうど私の京都でのホテル時代、バブル崩壊により国内利用が大幅に減少、ホテルは新たな市場開拓に迫られ2つの市場にアプローチすることを決めました。それまでホテルでは受けることがなかった修学旅行、そして、当時は一部のホテルだけが取り組んでいた東アジアのインバウンド市場です。そのインバウンド市場における海外現地営業の第一陣として指名されたのが私でした。
当時、台湾や韓国は現在のような個人旅行ではなく団体旅行が主体であり、年間で受注するスケールメリットは大きいものでした。セールスを重ね受注が着実に増え、安定的な売上げベースに成長しましたが、何よりも年間を通じて季節や曜日に偏りがなく、むしろ夏休みや旧正月の冬に多いというのは国内市場にはない魅力です。
その後、日本のインバウンド振興はめざましい成長を遂げ、京都の閑散期である夏冬も昔とは違う賑わいを見せるようになりました。季節波動を平準化する意味でも夏冬のインバウンドは業界にとって有り難いものです。
しかし、ここ数年とても心配なことがあります。今の日本の酷暑です。熱帯である東南アジアからの旅行客が真顔で私に言いました「私の国より暑い」そして、肌の白い欧米豪人も顔を赤らめウンザリした表情で観光地を歩いています。
インターネットを通じて口コミ、レビューがあっという間に拡大し、多くの人に影響を与える時代。「今の日本の夏の酷暑は訪日客にとってとても印象が良いものではないだろう・・・」そう、いつも思ってしまうわけです。あなたはそんなことは考えたことがないでしょうか?
日本の暑さの印象について、ネット上で見られる声を調べてみました。暑さの感想ですから観光商品でもサービスでもないため流石にネット上で口コミをする場所がないわけですが、「is Japan hot?」と検索すると案の定「Reddit」(アメリカのQ&Aサイト)が上位にヒットしてきました。
ヒットしたRedditへの投稿者の質問タイトルは「Is Japan really too hot/humid in July/August?」
日本の旅行を計画する人でした。そこに寄せられた日本の旅行を経験した人のアンサーは以下のような内容でした。(日本語で)
*日本の夏は楽しい時間を過ごしたが、夏に訪れることは2度とないでしょう
*暑さ、湿気が強烈でアウトドアアクティビティを楽しみたかったが断念した
*東南アジアでの経験とは全く違う過酷さ。夏に観光に来るのはお薦めしません
*世界70ヶ国は行ったけれど日本の夏は最も暑い場所のトップ3に入る
*夏に40度になるところに住んでいるが日本との違いは「湿度」 観光行動に本当に影響する
*夏に日本を訪れた友人たちは皆「2度と行きたくない」と言っています
*ドイツから9月に来たけれど最初の数日間は死にそうだった
*沢山の休憩を取り、首にかける扇風機を着用して下さい
*ひどい脱水症状になり病院に行くことになりましたがポカリスエットが命を救ってくれた
インバウンドにまつわる施策や話題について日々見ていますが、最近は訪日外国人がマナーが悪い、オーナーツーリズムが酷すぎるといった訪日客バッシングの話題ばかり。(メディアとはそういうものですが)日本人には熱中症警戒アラート・・・「不要な外出は避けろ」TVでは「災害級」とまで言っているのに日本は「日本に来い来い」と言ってもそうしたことを心配するような対策や施策は目にしないのは非常に残念です。
同じ質問の検索結果でトリップアドバイザーも上位にヒットしていました。世界最大級(恐らく最大でしょう)の旅行口コミサイトも施設やサービスの口コミだけではなく「Japan Travel Forum」というユーザーの意見交換のページがあります。
Tripadvisor Japan Travel Forum
ヒットしたのは「How bad is Japan summer?」という問いでした。「酷いとは聞いているが、日本の暑さはどのぐらい酷いのか?」という感じでしょうか。
*気温が問題ではなく湿度が問題、蒸し風呂に入っているようなもの
*よほどの緊急事態が無い限り夏に日本に行くことはないでしょう
*夏は日本に行かないように、パートナーが不幸になります
*7月に北海道と東北を旅した時は、少しは耐えられると感じました
このトリップアドバイザーのフォーラムは他にも様々な意見交換がなされているのでマーケティング作業にはとても参考になりますのでいろいろ見てみて下さい。
夏の京都で「少し暑さを凌ぎやすい場所はないかな?」と検索する場合、ネイティブはいろんな表現をするのでしょう。しかし私達日本人の感覚で「Cool place」とか「Cool spot」などCoolで検索すると予想通り(予想以上に)そこに現れる検索結果は「素敵な場所」「イカした場所」が出てきます。英語は難しいですね。
困ったなと思い「Cooldown place Kyoto」と検索してみると目的に応じた検索結果も出てきました。また、Summeringという言葉でもそれに近い結果が得られるようです。
これらの検索では、最近よく上位結果で見られる外国人向けの日本の情報サイト「LIVE JAPAN Perfect Guide」がヒットし「Cool Down in the Hot Summer! 10 Refreshing Places to Vist in Kyoto in Summer」というページが出現しました。
LIVE JAPAN Perfect Guide
Cool Down in the Hot Summer! 10 Refreshing Places to Vist in Kyoto in Summer
そこで紹介されていたのは市内でも緑や水に触れる場所が多い下鴨神社や嵐山の竹林などもありますが、多くは市内を外れた郊外である「貴船」や「鞍馬」「三千院」「美山」などの京都北部、更に丹後の人気スポット「伊根の舟屋」などが紹介されていました。
また、京都でのCooldownというキーワードではRedditもヒットし、経験者が様々な場所や過ごし方をアドバイスしています。
*びわ湖バレイスキー場のケーブルカーで頂上へ(びわ湖テラスと呼ばれサマーシーズンも絶景で人気)
*京都市内から電車で移動しケーブルカーに乗って行ける比叡山の山頂「比叡山延暦寺」
*貴船の川床レストラン
*琵琶湖の近江舞子ビーチの水泳場で湖水浴(少しずつ外国人にも認識が増している)
*京都の予定をキャンセルして北海道に飛んで下さい
*自販機を使い、日傘をさして常に日焼け止めを塗って下さい
*空調が効いたカフェやレストラン、ショッピングモール巡りをして下さい
まあ、山や水辺に行っても暑いのは暑いでしょうけど、それでも風通しが良い郊外の自然は涼しげですし、京都市内と違いそれほど観光客が多くない場所はただでさえ暑い夏はやはり清々しさを感じることでしょう。
この避暑をキーワードにして京都北部や滋賀県など郊外や地方と訪日外国人との接点が出来るのも確かです。暑くて何もすることがないと言わず、それも一つの機会と捉えて、郊外、地方、山や川、高所エリアは暑い都市部からのデイトリップを誘ってみてはいかがでしょうか?
様々な国・地域から来日している訪日外国人。私たち日本人が夏を少しでも快適に過ごすための様々な商品の存在も知らない人もきっと多いでしょう。もちろん、それらがどこで買えるのか?もわかりません。Redditなどの経験者のアドバイスにもそうしたグッズの活用をすすめる人もいました。
日本の夏は暑いけれど、日本の猛暑対策グッズも取り入れながら、それも日本文化として楽しみ、また日本らしいお土産としても持ち帰ってもらえそうなものもありそうです。積極的なWeb周知と共に、ホテルやアウトドアアクティビティの場ではプレゼント提供したり、医薬品等でなければ販売をしたりするのも良いのではないでしょうか。
*ハンディファン(意外と効果的だと訪日客の評価も上がっているようで、今や街のいろんなところに売っています)
*センスや団扇(電車や屋内に入った時に思ったより有効で、和グッズとしても正にCool)
*フェイスシート(コンビニやドラッグストアに沢山売っていて爽快感抜群。自転車アクティビティもベスト
ッチ)
*冷却スプレー(これも意外と効くので重宝する。英語表記なども少なく外国人はあまり知らないのでは?)
*空調服(最近、外で作業する人が多く着用する空調服は聞くところによると日本発祥だとか?)
*首かけ扇風機(少し目立つものの街で見かけるようになりました。ソニーの高価格のものが売れているそうです)
さて、そのなかの空調服は外国人にとっては驚きのようです。Redditにも動画で紹介されていました。
Reddit Japan has jackets with fans
私は着たことがないですが着ている人に聞くとかなり有効なようです。ベストタイプもありますから、訪日外国人が夏の観光で来ていても違和感ないですし充電もホテルでできるでしょう。ホームセンターやワークマン等の作業着専門店、最近は大型家電店でも売っているようです。
海外では空調服などない国・地域がほとんどかもしれませんね。1万円以下でも買えるようで訪日客には日本の変わったお土産にもピッタリです。「夏の日本旅行にはこれが必要だ」と笑い話しにもなるでしょう!
その他、どこにでもある自動販売機も日本ではどこでも冷たい飲み物が路上でも補給できるということで海外は店がないエリアだとそう簡単にはいきません。また、コンビニではお茶のペットボトルなども凍らして販売されているなんて、それも海外ではほとんどないかもしれません。
場所は暑いからこそチャンスのところはいっぱいあるでしょう。デパートはもちろん、大型家電やショッピングモール、飲食店。エアコンはないにしても屋根が続く商店街などは日本らしさを楽しむのにもぴったりの避暑アーケード。
エアコンが効いたインドアの文化体験やクッキングクラスなどは言うまでもありません。
日本人しか来ないような地方の高原や高地、水辺、渓谷など、様々なマッチングの可能性を感じます。
それらのWebサイトに「暑い夏におすすめの・・・」としっかり説明や写真でも添えれば、少しはGoogleもSEOを効かせてくれるかもしれませんし、その記事をまとめサイトやキュレーションメディアのライターが取り上げてくれるかもしれませんね。
まあ、こんなことを考えているインバウンドビジネスもあらゆるアイデアがどんどん沸いてきます。あなたの会社もインバウンド向けの夏らしいサービスで快適な日本の旅を提供し、ビジネスにつなげてみてはいかがでしょうか。

