Last Updated on 2024-03-25
観光振興策に熱心な皆さんは、こんなフレーズをあちらこちらで目にされるでしょう。
「先ずはターゲットを絞ることが大切です・・・」「ターゲットを明確にしましょう・・・」
「設定しなくてはいけません!」素朴な気持ちで「何故?」と考えると、皆さんは答えがあるでしょうか?
そして、それらの記事には、その「何故?」が結構書かれていません・・・
まるで歌のイントロのように「あって当たり前」になったターゲット。それで良いのでしょうか?
|とある、地方自治体のインバウンドターゲット
自治体のインバウンド誘致事業にアドバイザーとして関わらせていただくことがあります。
実際にあった話しですが、某所では、当初、「台湾」「タイ」「フランス」の3つの国・地域がターゲット設定されていました。
私は素朴に「いろんな国の人が来ているのに何故、可能性を限定してしまうのだろう?」
そう感じました。
地方には地元ならではの様々な事情もよくあります。
私は念のために、その3つが選ばれている理由をたずねてみました。
すると、担当の方は、それが予期もせぬ質問だったのでしょうか(確かに誰もそんなこと聞かないでしょう)
少し困った顔をされ「それは、、何故かよく解りません?」と率直に答えてくれました。
その場は「もう少し広く検討したほうが地域にメリットが出るかもしれないですね」と、話しを終えておきました。
私は、後にそれについて考えたのですが、恐らくそれを決められた会議メンバーの間では、「広告宣伝が主体の事業」を想定されていたのかもしれないなあと気付きました。
私のスタイルは広告宣伝が中心ではなく(WEB広報はもちろん実施しますが、広告コンサルではない)「コンテンツ開発」とリアルな「マーケティング&セールス」が主体です。
これまでの公務事業に多い、広告宣伝を主体とした場合とではターゲットの考え方が異なってくることに私も気付かされました。
|広告PRを主体としたターゲット設定を考えると・・・
先のケースで考えましょう。もし、「台湾」「タイ」「フランス」の3ヶ所への「広告PR」をするのが事業であれば、それは理にかなってきます。
*Webや広告を繁体字、タイ語、フランス語で制作して発信する。
*各地の現地媒体に広告出稿する。
*各地の海外現地に営業・PRのキャラバンを組む。
*3つの扱いを主体にする国内のランドオペレーターに訪問営業をする。
(台湾はもはやランドが存在しませんが)。
まあ、当初の会議メンバーでは、こんなことを考えてらしたのかもしれません。
このように、ピンポイントで資金や労力を投入する広告PRであれば、限られた予算という意味でのターゲット選定は有効でしょう。
とは言っても、ヨーロッパだけでも15以上の国があり、広く周知するためには出来る限り広く影響を与えられるような施策を考える方が、誘致するという結果に繋げるためには
理にかなっていそうです。
|「コンテンツの開発」や「営業マーケティング」を目的とした事業の場合
これまで広告宣伝一辺倒であることが多かった自治体の観光事業も(ようやく)コンテンツ開発に比重を置くものが増えてきました。
事業プロポーザルの仕様書には、コンテンツの発掘~磨き上げといった言葉もよく見かけます。
そのような事業の設えの場合、ターゲットを単一国・地域に絞る理由がないことも多くあります。
できるだけ広くターゲットを構えられるようにした方が可能性が広がり、絞る理由があまりありません。
例えば、フランスは訪日数などからでしょうか?関西にいる私としては京都に親和性があるからでしょうか?何故かよくフランスをターゲットとされますが、私の経験上、フランス人だけに刺さり、他国の欧州人には関心があまりないというような事象を見たことはありません。
特に「酒造ツーリズム」や「(アニメなど)コンテンツツーリズム」の取り組みにおいて、何故か、もはやフランスしか眼中にないような事業も見受けます。(TVによく出るからですか??)
しかし、日本酒もアニメも他のヨーロッパの国の人も熱心なファンはいくらでもいます。
主に、フランスの人は熱狂的な人が多いのは解りますが、もっと広い可能性がそのコンテンツにあることを担当者の方は広い視野で検討すべきでしょう。(良く解らないイメージで決めつけない)
|BtoB(旅行会社経由)におけるターゲットの考え方
BtoB(旅行会社市場)においては、例えばヨーロッパ系の海外バイヤー
(海外のホールセラーなど旅行会社)や、日本にも拠点を置くそうした海外バイヤーを顧客に置くランドオペレーターは、ターゲットを絞るなどの考えはほとんどないと思われます。
(勿論、フランストラベルセンターなどのフランスに特化した会社はある)
試しに、皆さんはそれらの会社の海外のWebサイトをご覧になれば気付かれることがあります。
英語で書かれたそのWEBサイトで会社がどこの国なのか?探してみると結構、どこにも見当たらない。
日本の会社のサイトであれば、必ず住所や電話やアクセスマップがありますが、そうではないことが多いわけです。
もはや旅行業界もWEBサイトが主たる営業拠点であり(彼らはもちろんリアル営業もします)
日本をはじめ海外にネットワークや支店があり旅行素材を仕入れ契約できますからWEB上で全て完結ができるわけです。
つまり、申込み客の国からの発着を手配できてしまい、決済はオンラインで行うわけですから、顧客の国・地域がどうのこうのではなく、グローバルとはつまりボーダーが減っていくことです。
そうした点でも、日本はやっぱり、少し考え方が追いついていない気もします。
例えば、私が自転車観光の仕事をしていた頃は、BtoB各社経由でハイエンドな欧米豪客をメインに取り扱いをしていました。
自転車のアクテイビティはいろいろな準備要素があり、顧客の国・地域情報を事前に知りたいのです。
例えば、オランダなら高身長だろうとか、フランスやドイツならシニアでも走行技術が高いだろう・・という予測と準備です。
そうしたことで、ブッキングがある旅行社には顧客の国・地域情報の記載欄を設けていたのですが、それが欧州系の旅行会社では、国籍欄が未記入(不明)であることがしょっちゅうありました。
つまり、旅行会社も顧客がどこの国の人か?など、彼らからすればこだわる必要のない点であるわけです。
グローバルビジネスとはそんなものなのですが、もし、仮にフランスをターゲットとして、そうしたランドオペレーターを訪問したり、VJTMなどの商談会で「うちのまちのターゲットはフランスなんですが・・」と言ったところで、彼らは困惑する人も多いでしょう。
フランス限定で商品を販売するなどは、器用で面倒な作業になるわけですから。
もちろん、ランドオペレーターであればフランス現地のバイヤーセールスに行くことはありますが、そんな希少なタイミングで何か販売に協力してもらえるなどは難しいでしょう。
オペレーターの担当者は「気持ちは解るが・・・」とクスッと笑っている気がしますよ。
日本の自治体や観光行政、事業者の皆さんも、ランドオペレーターや海外バイヤーにアドバイスするぐらいの知識で臨めば、逆に、彼らは一目置き、信頼感が出ると思います。
かつて、私がアクティビティの営業していた頃、彼らからビジネスオファーが来るようになった理由は恐らく「こいつは流通が解っているな」と思ってくれたからだと感じています。
次回は、地域性によってターゲットが限定したり、優先したりすることもある、という話しなどに触れたいと思います。

